手術後の飼い主を心配して寄り添うワンコ、自身も病気とトラウマを抱え…… 必死で生きる犬を支える飼い主に話を聞いた(1/2 ページ)

とってもとっても優しい子……。

» 2023年10月07日 20時30分 公開
[かのんねとらぼ]

 手術を終えた飼い主を心配する優しいワンコの様子がInstagramに投稿され、記事執筆時点で122万再生を突破、4万2000件の“いいね”を獲得。「泣けてきちゃいますね」「きみは、何て素敵な子なの」「寄り添う姿がとても微笑ましいです」とたくさんの声が寄せられています。

パパを心配するやさしいワンコ お父さんに寄り添うまるこちゃん

 優しい飼い主夫妻と暮らす元保護犬の「まるこ」ちゃん。ある日お父さんが手の指の手術をして帰ってきました。ソファに座るお父さんに寄り添うまるこちゃん、包帯が巻かれた手を見て心配しているようです。

パパを心配するやさしいワンコ 包帯どうしたの?

 心配してくれているまるこちゃんを、お父さんは「大丈夫、大丈夫」と言いながら優しくなでます。それでもじっとくっついて離れない姿から、お父さんを思う気持ちが伝わってきます。手の傷をなめて癒やそうとする行動にも、優しいまるこちゃんの気持ちがあふれています。

パパを心配するやさしいワンコ 心配……

 その様子に、カメラを回しているお母さんも感激を隠せません。実はまるこちゃんは、心不全などの病状に悩まされており、このときは自身の体調もよくはなかったのです。咳をしながらつらい体を押して手術をしたお父さんを心配し、寄り添う姿は涙なしでは見られません。

パパを心配するやさしいワンコ なめてあげるね

 お母さんがカメラを止めた後も、ずっと傷をなめていたというまるこちゃん。お母さんに「まるこ偉いね。すごいね。優しい子だね」とほめられた喜びとともに、お母さんのもとへ歩き出そうとしたとき……まるこちゃんは倒れました。崩れ落ちるように倒れたあとも、その顔は笑顔に満ちていたと語るお母さん。きっと飼い主夫妻にほめられてうれしい気持ちが表情に出たのでしょう。

 まるこちゃんはその後、ゆっくりと寝て立てるようになったとのこと。しかし今も一進一退を繰り返し、予断の許さない状況だそうです。

パパを心配するやさしいワンコ 優しい優しいまるこちゃん

 まるこちゃんは、飼い主夫妻に迎えられる前からさまざまな病に侵され、「犬が近づくとパニックを起こす」という何らかのトラウマも抱えた状態でした。そのため、お散歩は他の犬がいない場所や時間帯を選んで行くなどの工夫を講じなければならなかったとのこと。それでもふいに近づかれ倒れることも……。

 そんなとき、Instagramのフォロワーさんに“犬や人が近づくことを怖がるワンコがいること”を周知する「イエロードッグプロジェクト」のことを教えてもらった飼い主さん。まるこちゃんもイエロードッグであることを知り、そしてその取り組みへのボランティア活動を始めたのでした。

イエロードッグプロジェクト

「臆病な性格で、見知らぬ人や犬が近づくと吠える」「虐待の過去を持ち、飼い主以外の人間が近づくと怖くて震える」など、さまざまな“事情”を抱えるワンコたちが黄色いリボンをつけることで、「近づかないでね」という意思表示をする取り組み。その他、健康上の問題やしつけトレーニングの最中など、社会復帰訓練中のワンコたちがストレスなく過ごせるよう配慮するもので、2016年にスウェーデンで発祥したといわれています。

 ねとらぼ生物部は、まるこちゃんの飼い主であり、イエロードッグプロジェクトのボランティア団体「みんなのイエロードッグプロジェクト【公式】」の代表である染川美智子さんに、まるこちゃんの様子やボランティア活動についてお話を聞きました。

「みんなのイエロードッグプロジェクト【公式】」代表・染川美智子さんインタビュー

――― まるこちゃんとの出会いについて教えてください

 東京を離れ、念願の犬をお迎えできる生活スタイルになりましたので、子どものころからの夢であった保護犬をお迎えすることにしました。そして里親募集サイトでまるこを見て、お見合いすることになりました。お見合いで初めて会ったとき、まるこは不貞腐れて孤独な目をしていました。そして当時から犬が強度に苦手で、パニックを起こすことがありました。

 お見合いのときに散歩をさせてもらったのですが、まるこは興奮し、私を強く引っ張りました。すごい力で驚いたら、まるこが振り返って私を見て笑ったんです。その瞳がかわいすぎて、もうイチコロでした。絶対にこの子が私たちの子だと、思いました。

――― まるこちゃんの病気について……以前はてんかんと診断され、他にも抱えている病気があるとのことですが、どのような症状でしょうか

 てんかんは当初診断されていたものなのですが、2022年に心不全を起こしたときに心臓発作である可能性が強くなりました。発作の診断を確定するのはとても難しいことなのだそうです。今現在、心臓発作だろうということで投薬しています。

 正式譲渡になる前からの病気は(1)フィラリア症 陽性(2)乳腺腫瘍(3)卵巣嚢腫(4)フィラリア感染による肺の石灰化。不妊手術と乳腺腫瘍、卵巣嚢腫は手術した直後での里親募集でした。フィラリアは治療を継続、肺の石灰化については激しい運動はさせてはいけないといわれています。

 2022年9月に心不全と呼吸不全で生死をさまよいました。原因はフィラリア感染によるものです。フィラリアは以前の飼い主による医療放棄からのもので、防げる病気です。フィラリアにさえなっていなかったら、今も元気にしていたかと思うと胸が張り裂けんばかりです。

 また、里親募集していたボランティアさんには、他の犬は絶対近づけてはいけない、と伝えられていました。犬を回避してお散歩していましたが、急な接近があって突然倒れるようになりました。うちの子になって約1カ月後のことでした。

――― まるこちゃんの現在の体調はいかがでしょうか

 いつ虹の橋を渡ってもおかしくないと伝えられています。常に心不全を起こしているような状況です。心不全と肺高血圧症でともに末期です。大好きだったお散歩も歩ける時間はごくわずかとなりました。それでもお散歩を楽しみにしています。生きがいのようです。

――― まるこちゃんはどんな性格のワンコでしょうか。また、飼い主さんにとってどのような存在でしょうか

 とてもけなげで賢い子です。一度ダメと言われたことは絶対にしません。記憶力が良いので、犬が苦手なのも何か忘れられない出来事があったのだと思います。普段、自分からグイグイ甘えるということはあまりなくて、じーーーっと見つめて、私たちの手が空くのを待っています。私たちの手が空くとそっと近づいてきます。いとおしいです。

 ただ、過去食べるのに困った経験からか、食には異様に執着しています(保護されたときはガリガリでした)。心不全で生死をさまよったICUの中で、苦しいながらもガツガツご飯を食べて看護師さんを笑顔にしていました。

 まるこはかわいいい愛娘です。不妊治療で子どもができなかった私たちのところに来てくれた“わが子”です。犬産んだ! と思っています(笑)。

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