スズメバチvs.ニホンミツバチ、命を懸けた総力戦に「涙出てきた」「感動する」 知られざる“熱殺蜂球”のすごさを養蜂家が公開
貴重な映像です。
YouTubeチャンネル「週末養蜂チャンネル」に、天敵であるスズメバチに命がけで逆襲をするニホンミツバチの姿が投稿されました。記事執筆時点で動画は47万回以上再生されています。
投稿主さんは趣味でニホンミツバチを飼育し、蜂蜜を採取する「週末養蜂」を広める活動を行っています。今回は自らの寿命と引き換えに、天敵であるスズメバチを撃退するニホンミツバチの必殺技を公開しました。
動画に登場するキイロスズメバチは肉食性の昆虫で、ニホンミツバチをはじめとした昆虫を捕まえて肉団子を作り、幼虫に与える習性があります。一方、ニホンミツバチの食べ物は植物の蜜や花粉で、働き蜂はせっせと飛び回っては巣の中に蜜や花粉団子を蓄えています。
スズメバチ、中でもキイロスズメバチは夏になると頻繁にニホンミツバチの巣にやってきます。投稿主さんによるとこの時期のキイロスズメバチの巣にはおなかを空かせた幼虫が待っているため、危険を承知で餌となるミツバチを捕まえようとするのだとか。
ニホンミツバチは通常、花の蜜を集めに行く個体以外は巣箱の外に出てきません。しかし天敵のキイロスズメバチがやってくると数百匹が巣箱の外に出てきて、体を振って威嚇しつつキイロスズメバチを返り討ちにしようと“その時”を狙います。
じっと観察していると、キイロスズメバチはニホンミツバチの威嚇をものともせず、孤立していた個体をいとも簡単に連れ去ってしまいました。その後もひっきりなしにキイロスズメバチがやってきますが、ニホンミツバチもただやられているばかりではありません。
そして何度目かの襲撃の後、ついに“その時”がやってきました。襲撃してきたキイロスズメバチがあっという間にニホンミツバチに覆われ、姿が見えなくなってしまったのです。
スローで何が起こったのか見てみましょう。キイロスズメバチがニホンミツバチを捕まえたと思ったら、奥から数匹のニホンミツバチがやってきました。そして驚いたキイロスズメバチが逃げようとしたところ、数匹のニホンミツバチに足をつかまれてしまいます。飛べなくなったキイロスズメバチのところにあちこちからニホンミツバチが集まってきて、あっという間に全身を覆われてしまったのでした。1匹目がつかみかかってから、この状態になるまでわずか3秒の出来事だったそうです。
蜂が球のような状態になったこの状態は「蜂球(ほうきゅう)」と呼ばれ、蜂球に包まれたキイロスズメバチは10分たつと約4割が死に、残りは瀕死状態になるのだそうです。
蜂球の温度は5分後には46度となり、その温度は10分ほど維持されます。さらに大気中の約100倍という高い二酸化炭素濃度に加え、90%以上という高い湿度も加わり、蜂球に包まれたスズメバチは死んでしまうのだそうです。ニホンミツバチが温度を利用して作る対スズメバチ用のこの蜂球は、「熱殺蜂球(ねっさつほうきゅう)」と呼ばれています。
ニホンミツバチはスズメバチと異なり約49度まで耐えられますが、熱殺蜂球に参加するとダメージを受けて寿命が短くなってしまうとのこと。そのため若い個体は参加せず、一度参加した個体は次の熱殺蜂球にも積極的に参加するのだそうです。さらに経験がある個体はスズメバチにかみ殺される可能性が高い蜂球の中心部に参加するのだとか……!
熱殺蜂球はまさに命を懸けた必殺技ですが、例え何匹、何十匹が命を落としたとしても、キイロスズメバチを倒せば群れにいる何万匹ものニホンミツバチが助かります。ニホンミツバチの社会では群れのためなら自分の命を犠牲にすることをいとわず、残された寿命が短い個体が危険な仕事を担うことが徹底されているのですね。うーん、蜂ってすごい……!!
投稿主さんはYouTubeチャンネル「週末養蜂チャンネル」をはじめとした各SNSに、養蜂に関するさまざまな体験や情報を発信中。養蜂や蜂蜜に興味がある人は、のぞいてみると勉強になりそうです。
週末養蜂さんのSNS
YouTubeチャンネル「週末養蜂チャンネル」
X(Twitter):https://twitter.com/syumatsu_yoho
Instagram:https://www.instagram.com/japanesebee/
TikTok:https://www.tiktok.com/@japanesebee
公式サイト:https://www.japan-natural-beekeeping.org/ja
画像提供:YouTubeチャンネル「週末養蜂チャンネル」
(三日月 影狼)
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