「諦めるしかないのか……」 中国の人気ブランド「SHEIN」で繰り返される“悪質パクリ販売” クリエイターが語った“憤り”と「限界」(3/4 ページ)
「言葉の壁」乗り越え賠償勝ち取ったクリエイターも
SHEINに作品を盗用されたクリエイターの中には、自らの知的財産権を主張し、賠償を勝ち取った人もいます。
画家でイラストレーターのにしざかひろみさんは、自然や動物を繊細ながら力強いタッチで描いた作風が特徴で、これまで数多くの作品が絵本や児童書の挿絵に採用されています。そんなにしざかさんが2015年に発表した「摩天楼」は、鶴の長い脚を林立するビル群のように見立てた作品でした。しかし発表から6年後、作品がSHEINの販売商品に盗用されていたことを知ります。
「2021年9月末に、知りあいではないロンドンの女優さんから、インスタグラムのダイレクトメッセージで『あなたの作品、盗用されていない?』とSHEINの商品ページのアドレスが送られてきたのが、盗用を知ったきっかけでした。作品が、みごとそのままタペストリーデザインとして使用され、5.75ポンド(日本円で約862円、当時レート)で販売されていました」(にしざかさん)
盗用された当時の心境を「簡単に画像を複製できてしまう時代なので、いつかあるだろうとは思っていた」と振り返るにしざかさん。ここで決めたのは、言葉の壁を越えてSHEIN側と戦うという覚悟でした。
にしざかさんは商品の証拠写真をスクリーンショットで撮影し、SHEIN商品の著作権侵害を報告するページからメールを送付。その後、SHEIN側からは盗用を認める返答が英文であったといいます。さらに、翻訳ソフトを駆使しながら損害賠償を交渉し、結果として商品の削除と、販売された商品分の支払いを勝ち取りました。交渉にあたっては、自身が会員として参加するイラストレーターの団体、一般社団法人東京イラストレーターズ・ソサエティ(TIS)に相談。同会が設置している、著作権に詳しい会員で構成された「著作権委員会」と、同会の顧問弁護士からアドバイスを受けたといいます。
「まさかそれが盗用されたものだとは、大半の人が気付かないと思います」
にしざかさんは、SHEINによる「世界中のイラストレーター・デザイナーの事業展開や成長を支援し、最新のトレンドアイテムをグローバルに展開していく」という理念には反対ではないとしつつ、「提携するサプライヤーに対しての監視・罰則は厳しくあってほしいと思います」と思いを語ります。
さらに「今回の件では、著作権侵害の訴えに真摯に対応していただけたのでよかったのですが、そうはいかないケースがたくさんあることを、まわりのイラストレーターから聞いています」と、盗用問題で厳しい立場に置かれているイラストレーターも多いと説明します。
日本では有名インフルエンサーが商品紹介動画をたびたび取り上げるなど、今や「安くてかわいいアイテム」として消費者に浸透しているSHEIN。にしざかさんは「SHEINの商品を手に取る消費者は『商品が気に入ったから買う』のでしょうから、まさかそれが盗用されたものだとは、大半の人が気付かないと思います。SHEINの商品に限らず、ネット上で商品を買うときには、トラブル回避も兼ねてその企業を調べて知っておいてもよいのかな、とは思います」と、消費者側の意識も重要ではないかと問いかけます。
圧倒的な安さを強みに、支持を広げたSHEIN。世界的なファッションブランドに成長を遂げる中、知的財産権への向き合い方が、今問われようとしています。
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