「漫画村」運営者に17億3600万円超の損害賠償支払い命令 運営者は「著作権侵害に当たらない」「時効完成」と主張も退けられる(1/3 ページ)

弁護士「日本の著作権に関する損害訴訟においてはおそらく過去最高額」。

» 2024年04月18日 17時45分 公開
[Kikkaねとらぼ]

 KADOKAWA、集英社、小学館の3社が、漫画海賊版サイト「漫画村」の運営者に対して総額19億2960万2532円の賠償を求めていた裁判について、4月18日、東京地方裁判所(杉浦正樹裁判長)は「漫画村」の運営に積極的に関与していた者に対して17億3664万2277円の損害賠償の支払いを命じる判決を言い渡しました(関連記事)。

漫画村 KADOKAWA 集英社 小学館 社会問題になったサイト「漫画村」(現在は閉鎖済み、モザイク処理は編集部によるもの)
漫画村 KADOKAWA 集英社 小学館 ACCS主催の会見に出席した原告と関係者

 判決を受け、コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)が主催した会見には、KADOKAWAグループ内部統制局法務部渉外課課長の小林左和氏、小学館編集総務局エキスパートマネジャーの松野直裕氏、集英社編集総務部参与・ABJ広報部会長の伊東敦氏、原告三社代理人の染井・前田・中川法律事務所から中川達也弁護士、前田哲男弁護士、ACCS事務局長の中川文憲氏が出席。

漫画村 KADOKAWA 集英社 小学館 8200作品が無断転載されていたという情報も(現在は閉鎖済み、モザイク処理は編集部によるもの)

 中川弁護士は今回の賠償認定額について、「日本の著作権に関する損害訴訟においてはおそらく過去最高額」と明かし、求めていた賠償額の約90パーセントにあたる金額を裁判所が損害賠償認定したことなどを説明しながら「具体的な回収の手法は差し控えますが、たとえ時間がかかったとしても回収につとめる」と話しました。

漫画村 KADOKAWA 集英社 小学館 本訴訟の意義を語る集英社の伊東氏

 また集英社の伊東氏は今回の訴訟について、「漫画村には8200作品が無断転載されていたという情報もあるなか、今回は17作品で17億円強の損害が認定されました。一部の早バレ、SNSでの違法アップロードを除いて(本訴訟を契機に)日本人または、日本国内発の漫画サイトはほぼ根絶できました。巨大な海賊版サイトがなくなったという意味では本訴訟の効果はあったと思います。海外の読者が読む海賊版サイトは相変わらず非常にひどい状態ですので、日本でうまく抑え込めた一連の流れを海外においてもきちんとやっていくのが出版社の務めと考えています」と語りました。

漫画村 KADOKAWA 集英社 小学館

質疑応答

 会見では質疑応答の機会も設けられ、1時間近く、多数のメディアからの質問が上がるなど、本訴訟の注目度の高さがうかがえました。

 ねとらぼ編集部からは「本訴訟における漫画村運営者側の主張の内容」と「今回支払いが命じられた賠償金が著作者に渡る仕組みなどがあるか」について尋ねました。

漫画村 KADOKAWA 集英社 小学館 中川弁護士による訴訟の経緯の説明

 「漫画村運営者側の主張」については、中川弁護士から「被告側の主張については、『自身の行為が著作権法上の侵害には当たらない』『時効がすでに完成している』という主張のほか、損害賠償額の計算についていろいろと主張がございました」との回答。なおこうした被告の主張は判決において「全て排斥(はいせき)されました」としています。

 「賠償金が著作者に還元される仕組みなどがあるか」については、中川弁護士から「出版社と著者の個別の取り決めと考えていますので、私としてはまず現実の『回収につとめる』ということが大前提と考えています」との回答がありました。

原告3社の共同コメント

 当時最大規模であり海賊版サイトの象徴でもあった「漫画村」に関し、刑事処罰を求めるのみならず、民事上生じた責任を追及することは、著者が安心して創作できる環境を整え、心血を注いで生み出された作品を預かる出版社の責務であることから、原告3社が共同して提訴いたしました。

 「漫画村」により出版コンテンツに生じた甚大な損害は今なお深く、その全てを回復することはできませんが、本判決において原告3社の主張が認められ、原告3社の17作品に限ってもその損害額が17億円強と判示されたことは妥当なものと考えております。

 原告3社は海賊版サイトを通じた権利侵害に対する大きな抑止につなげるべく提訴いたしましたが、本訴訟は改めて海賊版サイトの問題を広く訴える契機になりました。出版社は、国内のみならず、未だに深刻な被害が生じている国外においても同様の権利行使を行うなどして、作品を守り抜くため、今後も侵害に対してあらゆる手段による対策を講じてまいります。

コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)コメント

 海賊版サイトの運営に対して民事上の責任が生じることが示されたことは、同種事犯防止の観点から当然の判決であると考えます。

 権利者は海賊版サイトを通じて対価を全く得ることはできません。適正なサイトやアプリを通じて楽しんでいただくことが何より重要であり、改めて「海賊版サイトにアクセスしない」「海賊版サイトを利用しない」よう強く呼びかけます。

 今後も、会員により権利行使の支援や著作権普及を通じ、侵害抑制につながる活動を推進してまいります。

損害賠償請求における17作品

KADOKWA(8作品/賠償認定額4.0億円)

『オーバーロード』

『ケロロ軍曹』

『賢者の孫』

『盾の勇者の成り上がり』

『トリニティセブン 7人の魔書使い』

『ヒナまつり』

『僕だけがいない街』

『無職転生〜異世界行ったら本気だす〜』

集英社(2作品/賠償認定額4.3億円)

『キングダム』

『ONE PIECE』

小学館(7作品/賠償認定額9.0億円)

『黄金のラフ』

『カノジョは嘘を愛すぎてる』

『からくりサーカス』

『ケンガンアシュラ』

『黄昏流星群』

『ドロヘドロ』

『YAWARA!』


(Kikka)

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