「お母さん」←ママ 小説家と校正者の“不安しかない赤入れ”話題に 伝わるか不安になるやりとりに「これは悩む」(1/3 ページ)
出版業界あるある。
小説家が校正の戻し原稿で記述で迷ったという経験をつづったポストが、非常に分かると話題になっています。同じ音で別の意味を持つ2つの言葉で勘違いさせてしまいそうだという悩みに注目が集まり、記事執筆現在までに100万回以上表示されるほどの注目を集めました。
「ママ」に直すのか直さない意味の「ママ」なのか
この校正における悩みを投稿したのは、ミステリー作家で漫画原作も手掛けている矢樹純(@yagi_jun)さん。『小説幻冬』で連載中のクライムミステリー「彼女たちの牙と舌」のゲラにおいて、作中の会話文で「お母さん、まだ片付けがあるから、二階に下りるね」という一文を書いたそうですが、原稿を提出したところ校正者からこの部分に「OKですね? 詩穂は杏里を『ママ』と呼んでいるので」という鉛筆書きの指摘が入ったそうです。
矢樹さんはこの指摘から自身の誤記に気付いたそうで、「お母さん」の部分に赤丸を付けて線を伸ばし「指摘の通り『ママ』に変更する」という意味を込めて「ママ」と記述。しかし、出版業界用語で「ママ」とは「原文の儘(まま)引用」を意味する校正記号でもあります。そのため、これに気付いた矢樹さんは「ちゃんと伝わるか不安になる赤入れ」だと思い立ち、青字で「『ママ』に直します。ご指摘感謝です!」との補足を入れたそうです。
この投稿には「親近感でいっぱいです!」「うわぁ、これはそのままなら悩むやつだ」と矢樹さんに共感する声や「新聞記事とかでも『パパです(原文ママ)』とかあると悩みますよね…」と別の似た事例を見掛けたことがあるという声とともに、「記号だけだと、トルストイ校正になっちゃいますね、これw」と、校正記号の「トル」を「トルストイ」の部分に入れたら「トルトルストイ」となって戻ってきたという校正にまつわる有名な逸話を思い出したという声も寄せられていました。
画像提供:矢樹純(@yagi_jun)さん
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