“地球で221年ぶり”、13年ゼミと17年ゼミの同時発生で1兆匹のセミが…… 渡米記録に「大人の自由研究レベル100」「生で見たら発狂しそう」(1/2 ページ)
すごい(虫が苦手な人は閲覧注意です)。
アメリカで大量発生している“素数ゼミ”を追う様子がYouTubeチャンネル「うごめ紀」に投稿されました。動画は85万回以上再生され、2.3万件を超える高評価を獲得しています。
一大イベント「13年ゼミと17年ゼミの同時発生」の年がやってきた
投稿主のうごめ紀さんは、昆虫や冬虫夏草(虫に寄生するキノコ)を中心にさまざまな生物を探し、写真や動画を撮影している生物系YouTuber(関連記事)。今回は「素数ゼミ」と呼ばれるセミにまつわる1803年(江戸時代)以来の大イベントのため、アメリカ合衆国のイリノイ州・シカゴにやってきました。
“素数ゼミ”を知っていますか?
素数ゼミはその名前の通り幼虫として地面の中にいる期間が素数であるセミの総称で、13年地面にいる4種のセミを「13年ゼミ」、17年地面にいる3種のセミを「17年ゼミ」と呼んでいるのだそうです(参考資料:珍獣図鑑(11):17年に一度の大発生! 周期ゼミの遺伝子に仕掛けられた“時計”を探せ)。
2024年は、アメリカの広い範囲でこの「13年ゼミ」と「17年ゼミ」が221年ぶりに同時発生する年なのだといいます。1兆匹ものセミが発生するといわれているのだとか。
うごめ紀さんは「それだけのセミが集まるとどれだけの爆音になるのか知りたい」「素数ゼミに寄生する菌を見たい」「素数ゼミが一斉に羽化するところを見たい」「素数ゼミを食べたい」という熱い思いから、勢いで渡米したのだそうです。すごい行動力だ……!!
素数ゼミを探せ!
アメリカ全土でセミが大量発生していると思っていたうごめ紀さんですが、セミはいるところにはいるけれど、いないところには全くいない様子。セミを求めて公園を巡っていると、民家の庭にとんでもない量の13年ゼミを発見します。とんでもない量がいる割に静かですが、どうやら素数ゼミは晴れると一斉に鳴き出すようです。
セミといえば独特かつ大きな鳴き声が有名ですが、実は鳴くのはオスだけで、オスはメスへの求愛行動のために鳴いているのだそうです。13年ゼミは地面の中で13年間エネルギーを蓄え、地上で過ごす数週間でそれを使い切り次の世代をつないでいくのだと思うと、生命の神秘を感じますね。
素数ゼミをゾンビにしてしまう菌を発見
うごめ紀さんによると、素数ゼミの中にはまれに性病にかかる個体がいるのだとか。腹部を見るとすぐにわかるということで、ひたすらセミの腹部をチェックし続けるうごめ紀さん。探し続けること2時間、1000匹ほどチェックしたところでようやく素数ゼミの性病とも呼ばれる「マッソスポラ菌」に感染したセミを発見します。
セミの腹部を見ると、生殖器がなくなって代わりに菌が詰まっていました。マッソスポラ菌はセミに感染すると覚醒作用のあるカチノン系化合物を出させ、「菌をばらまくゾンビ」に仕立て上げるのだといいます。感染したセミは腹部がなくなっても死ぬことはなく、羽を震わせる求愛行動を頻繁に行って性別も関係なく交尾し、菌をばらまき続けるのだとか……!
221年に1度しかできない奇跡の料理
うごめ紀さんによると、セミは昆虫食の中でもかなり人気のある食材とのこと。今年は221年に1回しかない13年ゼミと17年ゼミを同時に食べられる貴重すぎる機会ということで、セミを捕獲して食べることに。
本当は羽化したてのソフトシェルが一番おいしいけれど、羽がぐちゃぐちゃで飛ぶこともできず、死を待つだけの個体を食べてみることにしたうごめ紀さん。試しに生で食べてみると、苦くてあまり美味しくはなかったようです。
その後紆余曲折ありつつもセミを油と調味料で炒め、完成した「221年の奇跡炒め」に舌鼓を打つうごめ紀さん。
ガーリックコショウとガーリックパルメザン味の奇跡炒めは苦みが消え、ピーナッツのようないい香りがしてサクサク、おつまみのようでとっても美味しかったとのこと。文字通り素数ゼミを味わい、丸ごと食べつくしたうごめ紀さんなのでした。
「ワクワクする」「この現象に遭遇できない科学者もいるんだな」の声
こちらの動画には「大人の自由研究レベル100みたいでワクワクする」「一生に一度もこの現象に遭遇できない科学者たちが沢山いるって考えるとすごいな」といった、たくさんのコメントが寄せられています。
うごめ紀さんは世界中を飛び回り、撮影した昆虫や冬虫夏草などの動画や写真を同チャンネルとX(旧Twitter)で公開しています。
画像提供:YouTubeチャンネル「うごめ紀」
(三日月 影狼)
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