スーパーでは“常温”で売られることもある卵ですが、家ではどうして“冷蔵保存”するのでしょうか?→「卵のプロ」が語る理由に納得 おすすめの保存方法も紹介(2/5 ページ)
卵の保存期間はどれくらい?
―― では、卵は大体どれくらいの期間保存できるのでしょうか?
JA全農たまご: 鶏卵の賞味期限は、食中毒防止の観点からサルモネラ属菌が急速に増殖を始める前までの期間を生食できる期間と定めています。
サルモネラ属菌に汚染されている卵はおおよそ10万個に3個くらいと極めて低いものですが、万が一鶏卵内にサルモネラ属菌が存在していたとしても、採卵から10℃以下で保管していた場合、50日ほどは生食できる期間となっております。
一方、鶏卵を生食できる期限の算出根拠は上記の通りですが、消費者等により良い状態で使用していただくため、賞味期限はその範囲内で卵質の変化等を考慮し、産卵日を起点として21日以内を限度として設定します(家庭用の鶏卵の賞味期限は、温度管理の状態がコントロールできないので、短めに設定されています)。
なお、賞味期限を過ぎた場合は、見た目・におい等の異常がないことを確認し、十分な加熱をして召し上がっていただくことを推奨しております。
日本卵業協会: 卵の賞味期限とは、生で食べられる期限です。卵黄膜は保存温度及び保存期間と一定の関係で弱化し、一定レベルまで弱化が進むと卵黄成分(鉄・脂質等)が卵白へ移動を起こします。すると、まれですが卵白にサルモネラ属菌がある場合、急激な増殖をおこすことになります。
これをサルモネラ属菌の研究の第一人者であるイギリスのハンフリー博士が数式により表しました。菌の急激な増加が起こるまでの日数は次の式により求められます(ハンフリーの法則)。
D=86.939-4.109T+0.048T2
D:菌の急激な増加が起こるまでの日数
T:保存温度
この答えに冷蔵保存7日をプラスした日数が賞味期限となりますが、パック卵の賞味期限は安全を加味して14日程度を表示するのが一般的です。
ハンフリーの法則! そんな数式まであるとは……。ちなみに、季節ごとの基準となる気温(夏期27.5℃/春秋期22.5℃/冬期10.0℃)で保存した場合の生食可能な期限は、採卵後から夏期は16日以内、春秋期は25日以内、冬期は57日以内なのだとか(ただし、通常市販の卵はそれよりも短い日数を賞味期限として設定)。
以上の話と組み合わせると、10℃以下での冷蔵保存、つまり「冬期」レベルの温度を保てば、理論上卵はかなりの期間生で食べられるといえそうです。ただし、卵を長持ちさせるには輸送時の環境も重要であり、この「輸送時の環境」というのがくせ者。運ぶときの温度変化が激しいとそれによって卵がいたむため、変化を最小限にするために“売るときまでは常温”という選択がしばしば採られるのだといいます。
また、賞味期限は日本養鶏協会の「鶏卵の日付等表示マニュアル」が平成22年3月に改訂され、生鮮食品としてのタマゴという視点から「産卵日を起点として21日以内を限度」とすることが定められているといいます。したがって現在ではいくら低温で保管されていても21日以上には表示していません。そうした背景を踏まえると、やはり賞味期限の範囲内での生食が推奨されます。
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