息子と一緒に“ハエそっくりな吸血昆虫”対策をしたら…… 対策と大変貌に「目からウロコ」「初めて知りました」(1/3 ページ)

とても興味深い&分かりやすい。

» 2024年08月26日 20時00分 公開
[三日月影狼ねとらぼ]

 YouTubeに和牛の繁殖農家が牛や人を刺す厄介な吸血昆虫、「サシバエ」の対策方法を教えてくれる動画が投稿されました。動画は記事執筆時点で5万7000回以上再生され、「目からウロコ」「分かりやすい」といったコメントが寄せられています(※本記事には動画や画像でサシバエが掲載されています。虫が苦手な人はご注意下さい)。

吸血昆虫『サシバエ』の対策をしました

牛にストレスを与える吸血昆虫「サシバエ」

 動画を投稿したのは、兵庫県北部の但馬地方で和牛繁殖農家、削蹄師、精肉販売を営む田中畜産の代表・田中一馬さん。田中さんはYouTubeチャンネル「田中畜産の和牛チャンネル」にて、日頃なかなか見ることができない牛に関する情報を発信しています。

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 今回は田中畜産における8月の恒例行事、夏になると大量発生し、ウシや人を刺して血を吸う厄介な昆虫「サシバエ」の対策方法を見せてくれるそうです。

サムネイル すさまじい量のサシバエです。ネットをしないとこうなるとのこと

田中畜産における8月の恒例行事「サシバエ対策」

 サシバエは家庭でも見かける「イエバエ」の仲間で、見た目もイエバエにそっくりなハエの1種。けれど動物のウンチや生ゴミに群がるイエバエとは異なり、主に牛や馬などを刺して血を吸う、とても厄介な吸血昆虫です。

 同じく吸血昆虫である蚊に刺されると患部がかゆくなりますが、サシバエに指されるととにかく痛く、ときに感染症を媒介することもあるのだとか……。

草刈り機の支度をする男性とサシバエにたかられた牛 対策をしないとサシバエが大量発生してしまいます
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 そんなサシバエは8月のお盆を過ぎた頃から秋口にかけて大量発生し、多いときには牛の背中に100匹以上も止まってしまうとのこと。サシバエの存在は牛にとって大きなストレスになるため、田中さんはサシバエ対策を重要視しているそうです。

 田中さんによると、動物のウンチに卵を産んでウジとなり育っていくイエバエと異なり、サシバエは外からやってくるそうです。周辺にある草むらを中継地点として牛舎の中に入ってくることが多いため、サシバエ対策の一歩目かつ大切なポイントは「草刈り」になるのだとか。

草刈り 牛舎回りの草を刈っていきます

 ハエが多いのなら殺虫剤を使えばいいのでは? と思う人もいることでしょう。しかしサシバエの場合は数が多すぎて追い付かず、殺虫剤を使いすぎると薬剤が効かない個体が増えてしまうことから、殺虫剤は最終手段なのだとか。サシバエ対策はとにかくハエを中に入れないこと、中で増やさないことが大切なのだそうです。

 まずは「ハエを中に入れない」ために、牛舎周りの草刈りからスタートです! 田中さんによると、牛舎周りの草を刈るだけでハエの休憩場所がなくなり、牛舎に入りにくくなるとのこと。なるほど! 次々と草を刈っていく田中さん。見違えるようにスッキリとなりました。

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草刈り後 とてもスッキリしました!

 草刈りの後は牛舎の壁を外し、風通しをよくしていきます。草刈りの前に壁を外すと草にくっついたサシバエが牛舎の中に入ってしまうため、壁は草刈りをした後に外すようにしているのだとか。

壁を外す前の牛舎 草刈りの後は牛舎の壁を外します
壁を外す親子 子どもたちと協力して壁を外していきます

 サシバエは2メートル以上の高さをこえることが難しいといわれており、壁を付けたままであれば物理的にサシバエの侵入を防ぐことが可能です。しかし田中さんは暑さに弱い牛のために牛舎は壁を外した風通しがよい状態にしつつ、可能な限りサシバエを防げる状態にしたいといいます。

壁を外した後の牛舎 壁を外したことで開放的な空間となりました

 壁を外した後はサシバエを少しでも防げるよう、牛舎にサシバエネットを設置していきます。このネットの網目は6ミリでサシバエが通過することはできますが、ネット自体に殺虫剤が練りこまれているそうです。網目が2ミリのネットを使えばサシバエの侵入を完全に防ぐことができるものの、通気性が悪くなりすぎてしまうのだとか。

ネットをホッチキスで打っている サシバエ対策のネットを設置していきます
ネットを設置後ろ姿 地道に作業を進めていき……

 外からの侵入を防いだ後は、牛舎内でサシバエを増やさないために殺虫剤を撒いていきます。この時の殺虫剤には成虫に直接かけるものではなく、幼虫が成虫になることを防ぐ羽化抑制剤を使用。牛の餌箱の手前や少し湿ったところなど、ハエがよく飛んでいる場所に薬剤を撒くと、サシバエの数を大幅に減らすことができるそうです。

殺虫剤をまく 仕上げとして羽化抑制剤を撒きました

全ての対策が終了、結果は……?

 全ての対策が終了し、お盆をすぎて涼しくなってきた牛舎をのぞいてみましょう。何も対策をしない牛舎ではサシバエが大量に発生して牛たちが足をばたばたさせ、しっぽをぶんぶん振ってサシバエを避けようとするそうですが……?

親牛 しっかりと対策をした結果

 しっかりと対策をした田中畜産の牛舎ではサシバエがほぼ発生しておらず、牛たちがとても落ち着いて過ごせていることが分かります。サシバエ対策はサシバエの生態をよく知り、サシバエが本格的に発生する前に実施することが重要なのですね……!

子牛 牛たちが落ち着いて過ごせる環境となりました

「サシバエ痛いですよね」「とても分かりやすかったです」の声

 サシバエの対策方法はもちろん、日頃見えない牛飼い方々の努力を学べるこちらの動画には、「年に1回くらい刺されますが、サシバエすごく痛いです。あんなのに群がられている動物たちは本当に辛いと思います」「とても分かりやすいサシバエ対策でした。サシバエの寄りにくい環境作り、防御ネット、二次発生の予防。丁寧な対策ですね」「息子君達手伝いして偉いな」「周囲の草を減らすことで接近を抑えたり、網を使ってサイズ的に通行を防ぐのは蚊対策と似たところがあって面白いですね」といったコメントが寄せられていました。

 田中さんは「田中畜産の和牛チャンネル」とX(旧Twitter/@tanakakazuma)、Instagram(@tanatiku)にて、但馬牛に関する情報を多数発信しています。

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