「『逆転シリーズ』を拡大していきたい」 「逆転検事1&2 御剣セレクション」発売直前、キャラデ岩元辰郎氏、橋本シリーズP、西田Pロングインタビュー(1/5 ページ)
メインビジュアルアート“狩魔冥13歳登場”の秘密もついに明らかに……!
「異議あり!」でおなじみの法廷バトルゲーム「逆転シリーズ」に登場する検事・御剣怜侍を主人公とした「逆転検事」「逆転検事2」が、フルHDグラフィックで蘇る「逆転検事1&2 御剣セレクション」。2024年9月6日の発売を前に、ねとらぼ編集部がカプコンにお邪魔して制作プロデューサー陣とキャラクターデザイナーに開発秘話を聞きました。
逆転検事シリーズとは――
“NEW逆転 NOT裁判”をコンセプトに2009年5月28日に発売された「逆転検事」は、「逆転」シリーズ初のスピンオフタイトルで、2024年で発売から15周年を迎えました。
対決パート・捜査パートに加えて「ロジック」「ロジックチェス」といった画期的なシステムの搭載が話題を呼んだほか、御剣怜侍、糸鋸圭介、狩魔冥といったシリーズおなじみのキャラクターに加え、個性的で魅力的な新キャラクターの登場も好評を博しました。
すべてはこのときのために――開発し続けた2年間
今回は「逆転」シリーズプロデューサーの橋本賢一さん、「逆転検事1&2 御剣セレクション」プロデューサーの西田峻佑さん、「逆転検事1&2 御剣セレクション」のキャラクターデザイン・原画を手掛ける岩元辰郎さんの3人をインタビューし、約2年にわたるリマスター開発の裏側、約2000アセットにも及ぶ衝撃的なクオリティーの描き下ろしグラフィック、メインビジュアルの制作秘話などを伺いました。
――「逆転検事1&2 御剣セレクション」の企画がスタートしたのはいつごろだったのでしょうか。
橋本:もともと「既存の逆転シリーズを現行機で皆さんに遊んでいただけるようにしたい」という構想がありました。「逆転裁判456 王泥喜セレクション」の開発を進めていく中で社内のリソースも含めて体制が整っていたこともあり、「できるだけ早めのタイミングがいいな」と、そのころから企画し始めました。
西田:具体的には2022年の4月ごろからです。
――2023年末のインタビューでは「逆転裁判シリーズ」の新作、「逆転検事シリーズ」の移植や続編の可能性について「今言えることは何もありません」とのことでしたが(笑)。
橋本:すみません。あのときはもう動いていました(笑)。
――ファンが「逆転シリーズ」の新展開を熱望する中、突如2024年6月のNintendo Directで「逆転検事1&2 御剣セレクション」が発表されて大きな話題になりましたが、開発から発表までの期間、どのような心境で過ごされていましたか。
橋本:まずはそこまで多くの方に要望されててよかったなと思いました。御剣人気が高いのは開発チームもみんな把握していますが、「どこまでリマスターが望まれているのかな」「発表したときにどういう反応が来るのかな」と不安ではあったんです。
そんな中で「逆転裁判456 王泥喜セレクション」を発表したときに、「じゃあ御剣セレクションも!」という声がすごく多かったので、「これは正式発表したときに反響がドッと来るな」とちょっと安心しました。
岩元:「逆転裁判456 王泥喜セレクション」の発表があったときに、「逆転シリーズ」のファンの方が「『逆転検事』を引っ張り出してきて遊びだした」という投稿をしているのを見かけて、内心「(今ちょうどリマスターを開発しているのに)やめてやめてやめて〜!」という気持ちでした(笑)。
西田:こちらも発表したくてウズウズしてる中で「もう少し待ってくれ!」とすごく思いましたね(笑)。
岩元:今回の「逆転検事1&2 御剣セレクション」のメインビジュアルアートを描くために、「逆転裁判シリーズ」の気持ちにしたくて、ゲーム実況動画をYouTubeでよく見ていたんですが、そのコメント欄で「逆転検事1・2をもう一回やろう」というコメントをよく見かけて、それが苦しくて苦しくて(笑)。
橋本:岩元さん、苦しんでたんですね(笑)。
岩元:「いつ発表するんだろうな。なかなか発表してくれないな」と思ってましたね、2年間ぐらい(笑)。
――満を持して「逆転検事1&2 御剣セレクション」の発売を発表できたときにはどのような気持ちでしたか。
西田:自分はファンの方が全然予想していないんじゃないかと思っていたんですね。「逆転裁判456 王泥喜セレクション」が同じ年に出ていますし、1年に同じシリーズで2本出るのは予想していないだろうと。それを裏切る形でサプライズにしたいという思いがありました。最初の“御剣がジャケットを着る”扉絵でびっくりしてもらえるかなと思っていたのですが、狙い通り多くの反響をいただきました。
ミニキャラクターも新しいビジュアルをずっと見せたくて発表までずっと我慢していたのですが、こちらも驚きの反応をいただけてうれしかったです。
岩元:僕はNintendo Directでの発表当日が誕生日だったんですが、それこそ2年分のうっ憤を晴らす、素晴らしい誕生日プレゼントでした!
僕はXに「#1日1ラクガキ」というタグでイラストを投稿していて、その中でファンアートを描くときがあるんですが、この二年間は検事のキャラを描きづらかったですね。発表されるまでは匂わせになってはいけないので。ちょっとずつ検事のキャラクターを出したり、出さなかったりという謎の苦労をしていました。でも僕もNintendo Directでの発表は当日のギリギリに知らされたんですよ(笑)!
西田:発表は日付が変わる少し前でしたね。良い誕生日プレゼントになったと仰られてました(笑)。
――既存タイトルのリマスタリングプロジェクトを進めていく上で「ここは絶対に守らなきゃいけない」というポイントだったり、逆に「ここは今のトレンドに合わせて少し変えてもいいんじゃないか」というポイントだったりはありましたか。
橋本:基本として「シナリオは変えない」ということを心掛けています。ただ、言葉の言い回しに関しては時代に合わせて変える部分も必要だと思っています。
西田:今回は原作準拠のテキストで開発しているので、起動画面に「オリジナリティを尊重して制作当時の表現です」という注意書きを入れました。
橋本:表現的な部分では「逆転裁判456 王泥喜セレクション」でLGBTQに関しての配慮をした部分もありますが、ただ「基本は変えない」ことにしています。当時のタイトル作品をリスペクトして移植しています。
また、言語追加の部分に関しても、その言語の方が楽しく遊べるようなカルチャライズを心掛けています。
――「逆転検事1&2 御剣セレクション」開発にあたって「逆転裁判」シリーズでシナリオを担当された巧舟さん、「逆転検事」シリーズでシナリオを担当された山崎剛さん(※)らとは何かお話されたりしましたか。
西田:巧さんは開発当時の「逆転検事シリーズ」にはノータッチだったので、リマスター決定のタイミングでも「作ります」とお伝えだけしました。
橋本:山崎さんはイベントなどでお会いすることがありますが、Xなどの反応を見ていると喜んでいただいているようで良かったです。
(※)山崎剛さんの崎は、正しくは「たつさき」。
腕組み御剣の滑らかな指トントン――衝撃の129キャラ1200アセット制作秘話
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