特殊能力ゼロ、モテ度ゼロ、体力微妙 でも東京ドームが「発電MAN」を待っている:全身タイツで自転車こいで発電(2/2 ページ)
赤い全身タイツをまとい、僕はこれから「東京ドーム発電所」で「発電MAN」になる。まるでヒーローになった気分だ。通行人の視線が痛いが、気にしない。ヒーローというのは孤独なものさ。
これぞ筋肉のIT革命や! 吉本のアスリート芸人が助っ人に
先輩に裏切られるというまさかの事態に傷心気味の僕だったが、気を取り直して発電再開だ。この日は5回からお笑い芸人のなかやまきんに君とサバンナの八木真澄さんが助っ人としてやってくることになっていた。吉本興業を代表するアスリート芸人を生で見られるとは! ちょっと緊張してきた。
テレビや新聞の取材も入り、東京ドーム発電所に先ほどまでとは違った空気が流れる。そこへ2人が登場! 取材陣がカメラを構え、シャッターを切りまくる。テレビで何度も見ている2人だが、生で見ると迫力がある。うおお、これぞ筋肉のIT革命や(?)。どうやったらあんなガチムチボディになれるのだろう。
2人もペダルをこぐ。「体の中の脂肪を電力に変えて、パワー!」となかやまきんに君が叫ぶ。負荷の少ない自転車に不満そうだ。ついには手で回し始めてしまった。何もかもが規格外とはこのことだ。八木さんは赤い全身タイツの僕をちらちらと見ている。いじってくれてもいいぜ? でも多分、いじらなくて正解。
試合は、巨人の小笠原道大選手の2塁打で1点を追加する展開。横浜は打線がふるわず、試合はさくさく進んでいく。試合がスムーズなのはとても良いことだが、僕らは焦りを覚えていた。「試合が早く終わってしまうと、今のペースでこぎ続けても300Whは絶対無理じゃないのか」。
実際、6回終了までに発電できたのは150Whほど。やばい、やばいぞ! 僕らのせいでヒーローカーが動かなくなってしまう。「そうなったら僕が手で押しますよー!」と豪語していたなかやまきんに君は、もう次の仕事でいなくなってしまった。子どもの涙は見たくない。みんなで頑張るしかない。仲間と声をかけあって、必死でペダルをこぐ。
ついに9回表。先攻の巨人が2点を守りきりゲームセット。試合時間は2時間24分だった。我々はというと、直前のラストスパートでなんとか190Whを突破し、「もう無理」という状態で疲れ果てていた。せっかくなので200Whまでいきたかったが、まずは巨人が勝ったことを喜ぼう。東京ドーム発電所にはお互いをたたえ合う拍手が響き、チームとしての一体感が生まれていた。この団結力、とても初対面同士とは思えない。熱いものが胸にこみ上げてきた。
お尻が痛いです(泣)
自宅に帰り、体重を計ってみると、朝と比べちょうど1キロ減っていたのには驚いた。もっと驚いたのは、次の日の筋肉痛だ。特にお尻が痛い。腰のあたりから肩甲骨まで、背中も節々が痛い。負荷があまりなかったせいか足はそれほど痛くなかったのが救いだ。世を忍ぶ仮の姿に戻り、上司に「お尻が痛いんです」と報告したら、ちょっと距離を置かれたのは気のせいだろうか。
そういえば僕らの活躍はどのように報じられたのだろう。なかやまきんに君たちの記事を探してみたところ、写真でちゃっかり僕が見切れているものも。いつも取材する側なのでうれしいぞ。でも、赤い全身タイツが思っていたほど違和感なく映っていたのには非常にがっかりした。ヒーローとしての晴れ舞台だったのになぁ……。
最後に1つだけ言っておきたい。試合終了後にヒーローカーがグラウンドを回る姿を眺める僕らは、スパイダーマンやアイアンマンによって結成されたヒーローチーム「ニューアベンジャーズ」のように、すごくカッコ良かったと思う。
※ヒーローカーは東京ドーム発電所でためた電気だけで動いてるわけではないため、電気不足で止まることはありません。また、発電した電気が使われるのは翌日です。この日は前日の挑戦者たちがためた電気が使われていました。
※記事で紹介しきれなかった写真と動画をねとらぼのFacebookページで公開しています。ぜひ、こちらもご覧ください。
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