「一部のスマホヘビーユーザー」の通信速度を制限、米キャリアAT&Tが実施へ
一部のヘビーユーザーによる携帯ネットワーク圧迫への対策として、AT&Tは定額プランでデータ通信量が多いユーザーの通信速度を低下させる施策を導入する。
米大手携帯キャリアAT&Tが、一部のヘビーユーザーが帯域を占領している状況に対処するため、データ通信量の多いユーザーの通信速度を落とす施策を実施すると発表した。
10月1日から、スマートフォンの無制限データプランを利用しており、一定期間の通信量が上位5%に入るAT&Tユーザーに対し、通信速度を低下させる。この制限は従量制データプランの利用者と、大多数の無制限プラン利用者には適用されない。対象となるユーザーには、この施策を適用する前に通知をする。
AT&Tは、ほとんどのユーザーは影響を受けないと繰り返し強調している。「毎月数千通のメールを送受信しても、数千のWebページを閲覧しても、数時間ビデオをストリーミングしても、上位5%には入らない」と述べている。新たな施策の対象となるユーザーの通信量は、スマートフォン利用者の平均の12倍という。AT&Tは、同社のWi-Fiホットスポットサービスは追加料金なしで利用できるとして、Wi-Fi経由のデータ通信を勧めている。
「専門家の間では、米国が深刻な帯域輻輳に直面していることで意見が一致している」とAT&Tは述べている。少数のヘビーユーザーが帯域を圧迫し、ネットワークが低速化している現状に、ユーザーからは不満の声が上がっている。米キャリア各社はネットワーク増強に取り組む一方で、無制限定額データプランを廃止するなどの対策を取っている。AT&TはiPhone向け定額プランの新規販売を昨年終了し、米最大手キャリアVerizonも7月に定額プランを廃止して従量制に移行した。
一部では、AT&Tの新施策は、iPhone 5リリースに合わせたものではないかとの憶測もある。
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