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むむむ、何かにおうぞ…… シロアリ探知犬の訓練を見てきた働くわんわんお(1/2 ページ)

シロアリやトコジラミ(南京虫)のにおいを短時間、そして高い精度で嗅ぎ分ける犬たちがいる。その名も「くんくんズ」。人間にはまったく分からないにおいを本当に嗅ぎ分けることができるのか。その訓練を見てきた。

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 「シーク、シーク、ショウミー、ショウミー、オーケー、グッボーイ!」――ユニフォームを着たビーグル犬「ノア」が、パートナーの男性が出す指示に従って6個の丸い容器のにおいを嗅ぎ分け、1個を選び出す。その容器に入っているのはシロアリだ。

 働く犬といえば盲導犬や警察犬が知られているが、シロアリを探し出すシロアリ探知犬がいるのをご存じだろうか。ノアは日本で最初のシロアリ探知犬。シロアリの防除を行っているアサンテで結成された探知犬チーム「くんくんズ」のリーダーでもある。その訓練の様子を見せてもらった。

アサンテ探知犬チーム くんくんズ
探知犬「ノア」


「ぐるぐるはっケン!」で訓練


ハンドラーの「丸ちゃん」

 シロアリ探知犬の訓練は、ハンドラー(犬に指示を出す人)とのペアで行う。訓練場は主にドッグスクールだが、記者が見学した訓練はアサンテの会議室で行われ、前出のノアとハンドラーの「丸ちゃん」こと丸山省吾さんが参加した。ノアは2003年生まれの男の子で、11月9日に8歳の誕生日を迎える。ハンドラーを見つめる丸い瞳が愛らしくてたまらない。同行した犬好きの宮本記者も、「かわいい!」と興奮気味。

 訓練に使用するのは、「ぐるぐるはっケン!」というルーレットのような道具。直径50センチ程度の回転する丸い板から6本の棒が伸びていて、それぞれ先端にはボウルにふたが付いたような容器を載せるための受け皿が付いている。

 用意された6つの容器は、何も入っていないものが1つ、種類の違うエサが入っているものが4つ、そしてシロアリが入っているものが1つ。シロアリの入った容器の場所が探知犬に分からないようにするため、ぐるぐると回転させる。ぐるぐる回して発見するから「ぐるぐるはっケン!」だ。

ぐるぐるはっケン!
シロアリが入った容器
エサが入った容器


 それぞれ容器のふたを開けてにおいをかがせてもらったが、エサのにおいは分かっても、シロアリが入っているものは何もにおいがしない。当たり前だが、人間には何も入っていない容器とシロアリがいる容器をにおいで区別するのは無理そうだった。

 ちなみにシロアリは見た目こそアリのようだが、分類はハチ目アリ科ではなくゴキブリ目シロアリ科。つまり、ゴキブリの仲間なのだ。ゴキブリ目というのはどこまで人間を苦しめるのだろうか。探知犬への期待が異常に高まったところで、訓練の様子を紹介したい。

発見したら吠えずに首を縦に振る

 ハンドラーから探知犬への指示は、すべて英語で行われる。働く犬への指示は、方言やなまりで犬が混乱しないよう、英語で行われるのが一般的になっている。

 指示は「パーク(park)」がお座りで、「ステイ(stay)」が待て。「ゴー(go)」で立ち上がり、「シーク(seek)」で探知を始める。ハンドラーの「シーク、シーク、シーク」の掛け声を受けて、ノアは容器のにおいを嗅いでいく。

 シロアリの入った容器を嗅ぎ分けると、ノアはそこでお座りをする。そこでハンドラーが「ショウミー(show me)、ショウミー」という指示を出すと、ノアが「これだよこれ!」という具合に首を縦に振り続ける。犯人を見つけた警察犬のように吠えたりはしない。騒音対策で吠えないように訓練されているためだ。正解なら、ハンドラーは「グッボーイ(good boy)」と言ってエサをあげて褒める。これを繰り返すのがシロアリ探知犬の訓練だ。

 容器は中が見えるようになっているため、においではなく見た目で判断しているのではないかと思うかもしれないが、犬の視力は人間で言うと0.2前後。一方嗅覚は人間の数千倍から数万倍となるため、見分けるより嗅ぎ分けるほうが簡単。地中2メートルにいるシロアリのにおいも分かるというのだから、目の前にある容器の嗅ぎ分けなど朝飯前といったところだろう。



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