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アンナミラーズのこれから 再起にかける不退転の決意創業から現在まで、そして――(1/2 ページ)

今年1月に横浜ランドマークプラザ店を閉店し、残す営業店舗がウィング高輪店のみになったことがWebで話題になったレストランチェーン、アンナミラーズ。創業から現在まで、そして今後の展望について取材した。

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 ペンシルバニアダッチと言われる家庭料理とアメリカンパイを提供するレストランチェーン、アンナミラーズ。今年1月に横浜ランドマークプラザ店を閉店し、残す営業店舗がウィング高輪店のみになったことがWebで話題になった。「麗しい文化が失われてしまうのか」「うちの双子にあの制服を色違いで着て欲しかったのに」。その味とかわいらしいユニフォームを愛する根強いファンの間で、残念がる声も少なくなかった。アンナミラーズはこのままなくなってしまうのか、店舗を再拡大する計画はあるのか。「中の人」に話を聞いてきた。


アンナミラーズ ウィング高輪店

1973年、日本の外食産業勃興期に日本上陸

 アンナミラーズは、1973年6月13日青山一丁目に1号店をオープンし、来年で40年目を迎える老舗レストランチェーン。もともとは米国アンナミラーズ社が同じ年にハワイでオープンしたブランドで、日本ではフードサービス事業にたずさわる井村屋グループが商標権を取得し、運営を行っている。

 アンナミラーズの日本上陸は、井村屋グループの初代社長である井村二郎氏が、当時外食産業に着目し、米国に視察に行ったことがきっかけだった。マクドナルドが日本に上陸したのが1971年、デニーズが1974年。この日本の外食産業勃興期に、米国で起ち上がったばかりの新ブランドに目をつけた同氏には、まさに先見の明があったと言えるだろう。現在の井村屋グループの社長で、井村屋株式会社の会長を務める浅田剛夫氏がアメリカに修行に行き、その後1号店の店長に。本場の味と接客を自ら学び、社員に伝承していった。

ピークは28店舗、売上30億円。人気の秘密は……

 アンナミラーズは、立地にこだわり首都圏のみに店舗を展開していた。原宿、赤坂、自由が丘、下北沢など、当時から流行に対する感度の高い人が集まる街に絞り、出店は慎重に、石橋をたたいて渡るように事業を展開していった。店舗数のピークは1990年代後半ごろ、お台場に28店舗目をオープンしたときだった。業績もピークのときは全店舗の年間売上が30億円に上った。

 アンナミラーズの人気をここまで押し上げたのは、米国アンナミラーズ流の忠実な再現だった。アンナミラーズとは米国の創業者スタンレー・ミラーの祖母の名前。祖母アンナが作ってくれたペンシルバニアダッチと言われる家庭料理と、アメリカンパイの素朴さ――、まさにおふくろの味をそのまま持ってきたのが日本でも当たった。

 パイの特徴は、練りパイと呼ばれる生地。パイ自体は素朴な味で、ボリュームは十分。多いときは30種類ほどあった。昔からの定番、ロングセラー商品は、フレッシュストロベリー、チョコレート、バナナ。特に日本人客からはクリームパイ、外国人客からはアップルパイが人気だそうだ。店舗の内装も本場そのままを再現。青山一丁目の1号店には、ハワイの店舗と同じシャンデリア、食器などのアメニティーが使われた。

左:フレッシュストロベリー。イチゴの季節限定商品 右:ボストンクリームパイ。スポンジ生地の間にカスタードを挟んで、上からあたたかい濃厚なチョコレートソースをかけた

 アンナミラーズ人気を語るには、かわいらしいユニフォームの存在も欠かせない。もともとオランダの民族衣装をモチーフにしており、接客時の動きやすさを考え抜かれたデザインになっている。このユニフォームは日本上陸当時、女性にとって憧れの対象となり、アンナミラーズでアルバイトすることがステータスになった。アルバイトを志望する女性が語る動機の7〜8割がユニフォーム。モデルやスチュワーデスを志望する女性からの応募が多かったそう。梅宮アンナさんもデビュー前にアンナミラーズでアルバイトしていたという。1997年にはTBS系のドラマ「理想の結婚」で、常盤貴子さんがウェイトレスをしているという設定でユニフォーム姿を毎回披露していた。2006年にはフジテレビ系のドラマ「役者魂!」で、松たか子さんがユニフォーム姿を披露している。「お母さんも昔、アンナミラーズのユニフォームを着てみたかったけど、それができなかったから娘に着てほしい」。そう言って、親子2代でお店を訪れる客も少なくないそうだ。

女性にとって憧れの対象となったアンナミラーズのユニフォーム

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