日本の漫画は「横書き」にしないと衰退する? Twitterで業界関係者が大議論も噛み合わず
海外市場開拓のために漫画を「横書き」にするべき? Twitterで編集家、漫画評論家など業界関係者が激論を交わしました。
現在、日本の一般的な漫画は「縦書き」で描かれていますが、これを「横書き」にした方がいいとする意見もあるようです。先日、この問題について漫画業界の関係者がTwitterで議論を交わし話題になっていました。やりとりの詳細はTogetterにまとめられています。
中心となった人物は、漫画原作者で編集家の竹熊健太郎さん。竹熊さんは以前から、将来における日本の漫画業界を危惧し、国外のマニア層ではない“一般読者”を開拓するために漫画を「横書き」にするべきだと主張しています。英語や中国語など人口の多い言語は横書き(左綴じ)で、日本で漫画を学ぶ留学生たちが優秀なこともあり、このままでは「日本漫画」の市場は10年以内に諸外国に奪われてしまうのだとか。
そして、打開策として「左綴じ、横書き」を訴えるも、関係者の慣れた「縦書き」から変更したくないという心理的抵抗や、専門家に存在する”日本の漫画が世界一という迷信”などから、長年事態が動いていないと述べます。そのため、「敢えて言いますが『ガラパゴスのルール』にしがみついているのは正気の沙汰とは思えない」(竹熊さん)など、なかなか強い口調となっています。
これに対し、Twitterでは漫画評論家の伊藤剛さんらが反論します。「横書き」で描くよりも、綴じる向きを逆にするアダプテーション(適応)や翻訳を重点的に支援するべきではないか。その方が“コストが低い”というのが伊藤さんの見解です。また、アラビア語の本はそもそも右綴じであり、欧米準拠が世界仕様なのはいささか偏狭ではないかといった指摘もありました。
議論の様子は、漫画家の平野耕太さんやゆうきまさみさんも見守ります。しかし、「左綴じ、横書き」に変更すると作家は大変なのではという意見に、「コストはゼロです。頭を切り替えるだけです」と応答するなど、竹熊さんが頑なに持論を展開したこともあり、平野さんが竹熊さんを「究極超人あ〜る」の成原博士に例え、作者のゆうきさんが「そんなことはない」と応じる一面もありました。結局、議論は建設的な方向へはいかず、平行線を辿ったまま終了します。やりとりを追っていたユーザーからは「議論が噛み合っていない」「前提がそもそもよくわからない」など、厳しいコメントが寄せられていました。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ロシアのコスプレ事情は今 ロシア大型コスプレイベンター関屋智弘(せきや ともひろ)氏へロングインタビュー(後編)
「ロシアの人たちは非常に親日的」「アメリカとロケットの開発競争を繰り広げたような国ですから、手先は非常に器用で衣装作りも得意なんだと思います」――ロシアの大型コスプレイベント「HINODE」開催に携わった人物がロシアのコスプレ事情を語った。 - ロシアのコスプレ事情は今 ロシア大型コスプレイベンター関屋智弘(せきや ともひろ)氏へロングインタビュー(前編)
ロシアで日系企業として初の大型コスプレイベント「HINODE」の開催に携わった人物に、ロシアのコスプレ事情やトレンドを聞いた。 - アラブ世界で“カワイイ”が受けるワケ(後編)
日本人クリエイターの“カワイイ”イラストがアラブ首長国連邦(UAE)で人気を博した理由は――。 - アラブ世界で“カワイイ”が受けるワケ(前編)
アラブ首長国連邦(UAE)に招かれた日本のイラストレーター。“カワイイ”イラストでアラブの世界に飛び込んだ。 - パリでゾンビが増殖中!! 「アイアムアヒーロー」「テルマエ・ロマエ」に沸くJapan Expo
ヨーロッパ中からオタクが集まるJapan Expoは現地のマンガ出版社にとって格好のプロモーションの場。創意工夫にあふれた展示をご覧いただこう。 - ニコニコ超会議:枝野経産相、ドワンゴ川上会長らが“闘技場”に集結 「クール・ジャパン作戦会議」その全ぼう
枝野経産相などそうそうたる面々が集まった、ニコニコ超会議「ニコニコ言論コロシアム」の「クール・ジャパン作戦会議」は立ち見も出る大盛況だった。改めてその中身を振り返る。