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秋葉原UDX駐車場が“痛車の聖地”になったわけ

痛車の聖地としてにぎわっている秋葉原UDXの地下駐車場。痛車オーナーが集まる理由は、「北風と太陽」の“太陽”のような受け入れ方にあった。

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 東京アニメセンターなどが入居している秋葉原UDX(東京・秋葉原)。その地下駐車場が今、痛車の聖地としてにぎわっている。

 UDX駐車場のFacebookページには現在9万8000件の「いいね!」がついており、UDX駐車場のブログでは800台以上の痛車写真が公開されている。

 秋葉原には週末ごとに痛車が集まっており、秋葉原での滞在時間が長いこともあってさまざまな駐車場が利用されているが、なぜUDX駐車場に集中したのかを古守正直所長にうかがった。

 「もともと痛車の利用者はあったのですが、ゴミなどを放置されることも多く、利用マナーを守っていただくにはどうしたら、と知恵を絞った結果なんです」(古守所長)

 つまり、利用者にマナーを守ってもらうため、イソップ寓話「北風と太陽」の北風のように厳しく接するよりも、太陽のように暖かく迎え入れようと、痛車スナップ撮影を始めたのだそうだ。その結果、痛車オーナーたちから「自分たちにとって大切な場所」と認識されるようになり、ゴミを散らかすようなこともなくなった。

 取材に訪れた時もちょうど痛車オーナーからの撮影希望があり、撮影の様子を拝見した。現在ブログに公開されているのは約800台だが、口コミでやってきた利用者や、デザインを変えたから、ということで撮影希望が途切れず、公開待ちの痛車が50台ほどあるという。なお、撮影された痛車にはUDX駐車場のステッカーが謝礼として贈られる。

痛車撮影の様子
UDX駐車場のステッカー(右)

 また、単なる駐車スペースの提供だけでなく、地下2階の一画をまるごと貸し切りにして痛車オーナーのオフ会が開催されることもある。痛車の施工などにも場所貸しを行っている。


施工の場所貸しも行う

 変わったところでは、海外の経営者団体のオタクカルチャー視察として場所を貸し出し、痛車展示やメイド喫茶、コスプレなどを行ったこともある。おなじみの人気コスプレ集団・自宅警備隊にもコスプレ要員として動員がかかり、日曜日の朝早くから集合していた。


おなじみの自宅警備隊

 テレビドラマの撮影やCM、雑誌の撮影などにも対応しており、事務所内のボードには撮影予定や、撮影協力したドラマの公開日が見受けられた。

 「土地柄に応じたサービスを心がけている」ということで、UDX駐車場のマスコットキャラクター「Pちゃん」も最近登場、「(秋葉原でのマスコットのさきがけとなった)ツクモのつくもたんのように皆さんにかわいがってほしい」とのことだ。


マスコットキャラクター「Pちゃん」

 痛車の利用者にも話をうかがった。ここに来れば仲間がいるということで、近郊で開催されたイベント終了後、はるばる2時間かけてUDX駐車場までやってきて、UDXのレストラン街で食事する、というように痛車オーナーたちの集合場所として機能しているという。最近「ガールズ&パンツァー(ガルパン)」の聖地となった大洗町でもさまざまな商店が来訪者を暖かく迎え入れているのを目にするが、聖地となるための必須条件が「北風と太陽」の太陽なのではないかと取材を終えて実感した。

協力:株式会社駐車場綜合研究所 事業統括本部 関東第1ユニット(秋葉原UDX駐車場)

豆知識:つくもたん

2009年に秋葉原のTSUKUMOのマスコットキャラクターとして登場。その後、ほかのパーツ店などにも次々にマスコットキャラクターが誕生した。パーツなどの購入のおまけとしてさまざまなつくもたんグッズが開発されており、購入者がおまけ目的でパーツを購入するため、「秋葉原で最も金のかかる女」と他店からうらやましがられている。


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