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お寺の中にプラネタリウム……? 葛飾区の脱力系珍スポット「プラネターリアム銀河座」がものすごかった寺ネタリウム

プラネタリウム以外にも、敷地内にはなぜか恐竜やライオンのオブジェも。このお寺、ぶっ飛んでやがるぜ……!

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 お寺の中にプラネタリウムがあるという、世にも珍しい施設が葛飾区にあった。境内には恐竜やライオンといった謎のオブジェが点在し、プラネタリウム上映では住職さんたちのゆるいコントのような解説が炸裂……。その名は「プラネターリアム銀河座」。お寺とプラネタリウムの定石を覆す、はちゃめちゃな施設の様子を紹介したい。

画像 ※お寺の中です

 銀河座は、東京都葛飾区のお寺「證願寺(しょうがんじ)」の敷地内に併設されたプラネタリウム施設。1996年から一般の人に向けた上映会を月2回、定員25人の完全予約制で行っている(大人800円)。7月には機材をリニューアルし、最新の機器を導入した。

 館長は住職である春日了さん。普通プラネタリウム解説は1人で行う場合が多いが、ここでは春日さんと女性解説員の2人で解説を行うなど、全国のプラネタリウムでも変わっている施設だ。

画像 「プラネターリアム銀河座」公式サイト

画像 證願寺の外観

画像 門にはネコの絵があって、さっそく不思議な感じ

 お寺の境内に入ると、いたるところに寺らしからぬものがあってつい観察してしまう。本殿の石段あたりにはなぜかライオンの石像や7人の小人、小高い木の茂みからは恐竜(スティラコサウルスというらしい)の造形物が飛び出している。お寺の魔よけにしてはなにやらテーマパークっぽいものばかり。

画像 お寺らしい本殿の石段辺りには

画像画像 ライオンの石像や小人の人形が。テ、テーマパーク?

画像 !? いや、そんなばかな……

画像 やっぱり恐竜さんでした。魔物は払ってくれそうだけど、疑問は払えません

 隅にある3階建ての建物も目を引く。入口には水族館みたいなクジラの絵、壁には宇宙船のモデルがどんと貼り付けられている。……ここ、お寺? 何にせよ珍スポットとして訪ねがいのある場所には違いない。

画像画像 一角の三階建ての建物には、クジラの絵、そしてなぜか次世代スペースシャトル(?)らしきモデルが張り付いていて、いい感じにお寺がなんだったのか分からなくなってくる

画像 恐竜を横目に銀河座の建物へ。あきらかに平屋なのだけど、ほんとにプラネタリウムがあるの?

 ハテナマークが消えないまま、銀河座がある木造の建物に入る。会議室らしい部屋へ案内され、他の予約者(20人くらい)と上映を待つことに。お寺らしい日本風の建物だけど、肝心なプラネタリウムは一体どの部屋にあるんだろう?

 住職・春日さんとスタッフがやってきた。「みなさんお集まりのようなので席にご案内します」と告げると……あれ? 待合室の壁1面がゆっくり上昇し、大きな投影機と、その周りを囲む用に皮張りのソファー25脚が姿を現した。天井はドームになっており、立派なプラネタリウムの鑑賞ルームだ。お寺なのに「ハイテク技術導入しちゃいました」という「こち亀」的な展開に、お口あんぐり。

画像 平屋の中には、立派なプラネタリウムルームが!!!

画像画像 部屋の隅にはキティちゃんのミニカート、投影機の台には鉄道のミニチュアがめぐらせてあるなど、ここもツッコミどころだらけだった

 フカフカの1人用ソファーで仰向けになり、いよいよ上映スタート。銀河座の上映は毎回1時間3部構成で、第1部「星空解説」、第2部「各月のオリジナル番組」、第3部「デジタル・プラネタリウム」となっている。7月のオリジナル番組は「大人の七夕」。地球から離れて見える織姫と彦星が、2個くっついてラブラブに見える場所は銀河系のどこなのかを探る、といった内容だ。

画像 世にも奇妙なプラネタリウム、はっじまーるよーっ!

 お寺が変わっているのだ、住職らによる解説が普通なわけがない。

 第1部でさそり座の赤い1等星・アンタレスの解説中、春日さんが「この機械は黄色の光しか出さないから、アンタレスだけ赤くしちゃいます」と言って、赤のレーザーポインタで即席アンタレスを作り始めた。案の定、赤い点が小刻みに揺れるだけで、ぶっちゃけいらない。すかさず女性解説員が「ぶれぶれじゃないですか」と突っ込み、客席からくすくす笑い声が。

 こんな調子で、解説はちょいちょい脱線しながら進んでいく。古事記の「七夕伝説」について説明する途中、そのむごい内容に1人でツボってしゃべれなくなったり、駅前の短冊について辛辣なコメントをしたり。プラネタリウムとは思えないゆるいコントのようなやりとりに、記者はニヤけっぱなしだった。

画像 コンソールで投影機を操作しながら、解説をする春日さん

 笑いとぽかーんを繰り返して上映終了。なんだかんだで星空の知識・雑学をばっちり吸収していた。どうも春日さんは場を盛り上げるため、こちらの許容範囲内でハメを外している節がある。織姫と彦星のおかげで固有運動がこんなに楽しく学べるとは……高校の授業がこんな風なら成績もグングン伸びたかも。

 いやしかしなぜに、お寺にプラネタリウム? 春日さんによると、最初は仏教の話を手短に、面白おかしく説明するために導入したとのこと。その後プラネタリウム専門家からの勧めもあって一般上映もするようになった。

 境内のにぎやかなオブジェに関しても、仏教の原典を研究したうえで自信を持って置いているそう。インドのお釈迦様の骨の上には石柱があって、頂点にライオンが座っていることから、ライオンの石像を狛犬代わりに置いている……など。恐竜を置いている理由が「ライオンと対になるから」というのが気になったが、なんにせよ仏教やお寺をやわらかく見せることには寛容で、変わった境内もその表れなのだ。

 ほかの施設では味わえない面白さもあって、2カ月前から始まる予約は、いつも10〜15分ほどで埋まってしまう人気ぶり。興味を持った人は早めの申し込みをオススメする(電話よりメール予約が確実とのこと)。

 お寺の外観から上映プログラムの内容まで、とにかく常識が覆されっぱなしだった「プラネターリアム銀河座」。うーん、人々の頭の中は、やはり宇宙より広いかも。

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