子供のころ、友達の家でゴロゴロとマンガを読んでいる時間はなんであんなに楽しかったのだろう。一軒家をそのまま改造してしまったというアットホームすぎるマンガ喫茶「横浜へそまがり」は、そんなノスタルジックな気持ちを思い出すにはぴったりの空間だ。
店内は思いっきり民家風
横浜駅西口から徒歩10分。大通りから一つ路地裏に入ったところに、バス停を模した「横浜へそまがり」の看板が出ている。懐かしい引き戸を開けると、店主のへそまがりさんが作務衣姿でにこやかに出迎えてくれた。「虫が入るんで網戸閉めますね」という一言に生活感が溢れている。
2階建ての店内は階段からテーブルの下まで、まさに所狭しと漫画で埋め尽くされている。蔵書は約1万1千冊。へそまがりさんが元々収集していた2千冊に、閉店する知り合いのマンガ喫茶から買い取った9千冊を加えた。メジャーどころはもちろん、へそまがりさんオススメのレアなマンガも数多く揃えられている。あちこちにつけられたPOPは、ヴィレッジヴァンガードに10年勤務したへそまがりさんが自作した本格的なものだ。お客さんはこれらを手にとり、座布団やソファなど好きな場所に座って読むことができる。
ワンドリンクで何時間でも居放題
驚きなのはその料金体系で、必要なのはワンドリンクオーダーのみ。一般的な「時間何円」という方式は「自分が嫌だからとらない」というへそまがりさんの方針だそうだ。元々、「横浜へそまがり」はマンガを使った交流の場として不定期で無料開放していたそう。しかし、なかなか入りづらいという一見さんもいたことから、「それならお金を取ってお店という形態にしたほうが入りやすいだろう」ということで今年の9月9日にオープンに踏み切った。「もうけも必要だがまずは広がりを」という考えを大切にしており、常連さんが企画した「皆で寅さんを観る会」などのゆるいイベントも積極的に開催されている。
お客さんの店内での過ごし方はさまざま。1人でのんびりとマンガを読む人もいれば、店内のファミコンや麻雀卓でわいわいと楽しむ人もいる。ドリンクメニューにはアルコールも用意されており、食べ物は持ち込み可能。「大声を出す」など迷惑をかけないかぎり泥酔もOKという懐の深さだ。中には遠方からはるばるへそまがりさんに人生相談にやってくる人もいるという。
くつろげる「友達の家」感
へそまがりさんは今でもこの店舗兼住居で家族とともに暮らしている。2階の奥の部屋は立ち入り禁止の居住スペースになっていた。住居を別に構えることもできるが、あえてそうしないことでお客さんがくつろげる「生活の匂い」が生まれるのではないか、と考えているそう。僕も取材ということを忘れ、ついついぼんやりと長居をしてしまった。このなんとな〜く帰るのがめんどくさくなってゴロゴロしてしまう感じ。まさに友達の家に遊びに行った時の感じで、とても懐かしい気持ちにさせてくれた。
「横浜へそまがり」の営業時間は、月曜から水曜までが午前12時30分から午後8時30分まで、金・土曜は午後2時から午後10時まで。木・日曜は定休日。
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