東日本大震災から3年――Google「4年目の決意表明」に六本木で触れる:パーソンファインダー新機能も
パーソンファインダーではSMSを使って検索できる新機能などが加わります。展示イベントでは被災地を走ったストリートビューカーなどが登場。
Googleは3月4日、災害時に安否情報を登録・検索できる「パーソンファインダー」で、NTTレゾナントが運営する安否情報サイト「J-anpi〜安否情報まとめて検索〜」と連携したと発表しました。また、SMS(ショートメッセージサービス)を使って検索できる機能を提供することも明らかにしました。
Googleがオフィスを構える六本木ヒルズの大屋根プラザでは、同社の震災対応から復興支援までを振り返る展示イベントが3月5日にスタートします。多くの人が行き交うこの場所でリアルイベントを開催する狙いについて担当者は「4年目以降も支援を続けていくという決意表明」と語ります。
パーソンファインダーは東京オフィスが統括してるって知ってました?
パーソンファインダーは、2005年に米国を襲ったハリケーン・カトリーナを受けて生まれたサービス。その後、ハイチ地震やニュージーランド地震を経て、日本で初めて活用されたのは2011年3月11日の東日本大震災です。あの時地震発生から2時間足らずで公開されたことを覚えている方も多いのではないでしょうか。
2012年にはGoogleの災害対応拠点が東京オフィスにできました(米国オフィスに次いで2カ所目)。同社の災害対応はマップやビジネス支援など多岐にわたり、各国の社員が関わって進められていますが、特にパーソンファインダーに関しては東京オフィスが統括。国内だけでなくアジアでの災害にも迅速に対応できる体制となっています。
今回の機能追加では「J-anpi〜安否情報まとめて検索〜」と連携しました。以前から連携している携帯各社の災害伝言板に加え、J-anpiの情報もパーソンファインダーから横断的に検索できるようになりました。またJ-anpi側でもパーソンファインダーの情報を検索できようになっています。
SMSを活用した新機能は、パーソンファインダーで検索したいキーワードをSMSで送ると、結果をSMSで返してくれるというもの。「通信インフラが弱いなかでもSMSは通じる」という状況を想定して開発され、実際にインドやフィリピンでは運用実績があります。
パーソンファインダーの他言語化も進めており、2011年時点で40言語対応だったものが、現在は79言語に拡大しました。直近で追加されたのはジャワ語、モンゴル語、マレー語など。東南アジアなど災害の多い地域に重点を置いて他言語化を進めているそうです。
311の際、パーソンファインダーの日本語化などに関わったプロダクトマネージャー牧田信弘さんは今後の課題を「オフライン」だと語ります。「フィリピンの台風(ヨランダ)でもたくさん使っていただいたが、インターネットがないのにどう使うの? という意見もあった。日々努力していきたい」(牧田さん)
被災地を走ったストリートビューカーも登場
Googleがオフィスを構える六本木ヒルズの大屋根プラザでは、同社の震災対応から復興支援までを振り返る展示イベント「震災から3年、キオクと復興の今」が3月5日に始まります。4日は報道陣に一足早く公開されました。
3(横)×1.8(縦)メートルの大型スクリーンで被災地のストリートビューを閲覧できるブース、被災地を走ったストリートビューカーの展示のほか、被災地の企業とサポーター企業をつなぐビジネス支援の取り組み「イノベーション東北」が紹介されており、無料で見学できます。
同社プロダクトマーケティングマネージャー秋山有子さんは「(震災から)3年間の活動を形でみせることで感謝の気持ちを伝えたい」「東北の復興の枠を越えたイノベーションを知っていただきたい」「東北についてもう一度考えるきかけを作りたい」と、3つの狙いを語りました。
多くの人が行き交う六本木という場所でリアルイベントを開催する意味は「4年目以降も東京から支援を続けていくという決意表明」と秋山さん。同社製品統括部長の徳生健太郎さんも「Googleは情報にたずさわる企業として、東京という地に足を付けている企業としてしなければいけないことはまだまだたくさんあると思っている」と意気込みを語りました。
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