放送中止の「ほこ×たて」にBPOが意見 「重大な放送倫理違反があった」
BPOが放送中止になったフジテレビのバラエティー番組「ほこ×たて」に関する意見書を発表しました。
BPO(放送倫理・番組向上機構)が4月1日、放送中止になったフジテレビのバラエティー番組「ほこ×たて」について、「制作過程が適正であったとは言い難く、重大な放送倫理違反があった」とする意見をまとめました。
「ほこ×たて」は、中国の「矛盾」の故事にちなんで「絶対に穴の開かない金属」と「どんな金属にも穴を開けられるドリル」といった相反する製品を対決させる番組。「真剣勝負」をアピールする番組内容はネットでも人気となりましたが、2013年10月、出演した模型メーカーが制作過程の問題点をネットで指摘し、フジテレビは「不適切な演出があった」として番組を打ち切りました。問題となった放送回では、ラジコンとスナイパーの対決が紹介されましたが、収録では度重なるルール変更や追加撮影ののち、実際には行われていなかった対戦を映像編集によりでっち上げていました。
BPOは「ほこ×たて」について、出演者との合意のないまま、出演者にとって不本意な形で、実際には行われていない対決を映像編集で作り出したことや、制作会社に制作をほぼ丸投げしてチェック機能が働かなかったフジテレビの制作体制などを問題視しました。
一方、「ほこ×たて」が掲げていた「真剣勝負」については、「全くの演出ナシ、打ち合わせナシのぶつかり合いではなく、むしろ必要な範囲の演出や、それを出演者が納得することによって実現するもの」との判断を意見書に掲載しています。
BPOは審議の姿勢として、「基本的にバラエティー番組は、制作者と出演者が協力してある種の『虚構』をつくりあげ、それに視聴者が安心して身をゆだね、楽しむという、二重の了解の上に成り立っている」ため、「情報系バラエティーを除いて、報道倫理の価値基準をそのまま当てはめることはできない」と説明。どこまでの演出を許容するかは、番組内容によって「グラデーションがある」とし、「その基準は出演者や関係者、さらには視聴者をも含む人々の間において──明示的か否かは別として──互いに了解された『約束』として築かれるものと言ってよい」としています。
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