「完成を急がないところに共感」――漫画家・井上雄彦さんが「ガウディ」コラボ展 世界最大の手すき和紙にガウディ描く
現在はサグラダ・ファミリアを一望できる部屋に住む井上さん。ガウディに関わりのある場所を巡り、本人いわく「ゆるーく」過ごしながら創作活動を行っているそうです。
7月12日から森アーツセンターギャラリー(東京都港区)で開催される「特別展 ガウディ×井上雄彦−シンクロする創造の源泉−」に先立ち、展示内容などを紹介する記者発表会が4月9日、スペイン大使館(東京都港区)で行われた。
「SLAM DUNK」や「バガボンド」などを描いた漫画家・井上雄彦さんとスペインの建築家・ガウディという2人の天才による、時空を超えたコラボレーションとなる本展覧会は日本とスペイン両国による「日本スペイン交流400周年」のファイナルを飾る特別文化事業として行われる。
デッサンや設計図、家具、建築物の模型など貴重な資料約100点でガウディの偉業を紹介するほか、井上さんが展覧会のために描き下ろす作品約40点を展示し、ガウディの人間像や物語を深く掘り下げる。3面の大型スクリーンによるシアター映像や井上さんの絵が動き出すプロジェクションマッピングなど、趣向に富んだ展示内容となる予定だ。
注目すべきは世界最大の手漉き(てすき)和紙の上に井上さんが“ガウディの世界観”を筆で描くプロジェクト。和紙は井上さん自ら福井県越前市の上山製紙所に足を運び、職人とともに力を合わせて制作する。ガウディにならってものづくりの最初の段階から創作活動を行うという。
記者発表会では駐日スペイン大使であるミゲル・アンヘル ナバーロ閣下が「この特別展は交流年が決まってすぐに立ち上がった企画。日本とスペインの交流において重要なものとなる」と挨拶した。
ガウディ研究の権威である神奈川大学・鳥居徳敏教授はガウディの生涯と作品群を写真とスライドで説明。「SLAM DUNK」をリアルタイムで読んでいたという展覧会公式ナビゲーターで建築家の光嶋裕介さんは「ストーリーテラーとしての井上さんが何を表現するのか、何を発見するのかを楽しみにしたい」と語った。
また、スペイン滞在中の井上さんがSkype中継で登場。「シンクロ」という展覧会のテーマになぞらえ、ガウディと自身との共通点を尋ねられると、「“完成を急がない”ところに共感します」と答え、会場を湧かせる場面もあった。現在はサグラダ・ファミリアを一望できる部屋に住み、世界遺産カサ・ミラの中にアトリエをかまえている。ガウディに関わりのある場所を巡り、本人いわく「ゆるーく」過ごしながら創作活動を行っている。
中継の最後には「おてんとうさまに身を委ねて、何かしら良い物ができたらいいなと思っています。どうぞ楽しみにしていて下さい」と意気込みを述べた。2人のコラボがどのような化学反応を引き起こすのか期待しよう。
会期は7月12日〜9月7日。場所は森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズ森タワー52階)。開館時間は午前10時〜午後8時(最終入場は午後7時30分)。前売り券は5月17日に森アーツセンターギャラリーで発売するほか、ローソンチケットやチケットぴあ等の主要プレイガイドでも取り扱う。前売り券の価格は一般・大学生が1600円、中学・高校生が1100円、4歳〜小学生が600円。当日券は一般・大学生が1800円、中学・高校生が1300円、4歳〜小学生が800円。
なお森アーツセンターギャラリーでの展示終了後には金沢21世紀美術館、長崎県美術館、兵庫県立美術館、せんだいメディアテークを巡回する予定となっている。
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