ボーカロイドの楽曲にあわせて文楽人形が演じ、舞う――。伝統芸能と最新技術が融合した映像作品「ボーカロイドオペラ 葵上 with 文楽人形」が、7月25日から3日間開催されるイギリス・ロンドンの日本文化紹介イベント「ハイパージャパン」でプレミア上映されることが決まった。
これはオペラの上演舞台を撮影した30分の短編映画。歌はボーカロイドの「VY1V3」「猫村いろは」「結月ゆかり」が、演技は文楽人形が担うという、いまだかつてない趣向となっており、国立文楽劇場や国内外の舞台で活躍する吉田幸助さんを筆頭に、文楽の歴史と伝統を受け継いだ5人の人形遣いが文楽人形を操る。着想は源氏物語の「葵」から。ここに新たな解釈を加え、現代を生きる人々にも通じるような問題を内包した歌詞と、和楽器による幽玄な雰囲気を漂わせた楽曲を合わせた。
「ハイパージャパン」では同作の上映に関連し、ボーカロイド技術を紹介する目的で、「VOCALOID3 結月ゆかり」の声を担当する声優の石黒千尋さんを迎えてのトークライブを毎日開催。さらにボーカロイドの紹介や販売を行うブースも出展する。ワールドプレミアの開催内容、開催日時などの詳細は後日、公式WebサイトやFacebook、Twitterで発表する。
今回の初披露を受けて、台本・作曲および舞台構成を担当した田廻弘志さんは「700年前に歌舞劇となった1000年前の物語。幾世代の人々が後世に伝えたいと願ったものは、新しく発信される情報によって押し流されるかもしれません。その相容れない古さと新しさが交わるとき、どんな面白い珍しい華が咲くのか……。本作はそんな私の妄想から始まりました」とコメントを寄せている。
さらに「ハイパージャパン」にてプレミア上映後には2014年秋に東京都内の劇場での上映が予定されている。ボーカロイドと、300年の歴史を持つ文楽人形が「夢幻の世界」で出会うという前代未聞の挑戦。革新的な発想のもと、そこにはどのような形で日本独自の美が花開くのだろうか。
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