例えばカレーライスを食べるとき。下のご飯に対してルーが少ないがために、最後ご飯が多めに残って悲しい思いをしたことの一度や二度あるはず。人なら。それと同じ現象が起こりがちなのが、ウニ好きにとってのウニ丼だ。
ウニをこよなく愛する者なら皆等しく、ウニ丼と聞くと胸が高鳴る。こんもりと盛られたウニを前に、一口、また一口と口に運ぶ。ところがどうでしょう、世の中に流通するウニ丼ときたら。下のご飯の分量と比べて、ウニがあまりに少ない。もちろん、ウニが高価な食べ物であるとは重々承知しているし、得てしてそういうものだとは分かっている。だが、ウニが好きで、ウニを食べたくて、ウニ丼を食べに来たのに、早々に上にのっていたウニはなくなり、最後どんぶりの5分の1ほどを悪びれなく陣取る白米のにくらしさたるや。あんまりだ。このように、常々筆者は、ウニ丼における、ウニとご飯のバランスの悪さに、頭を抱えていた。
こうした悩みを持つ全国のウニ愛好者たちの楽園が、東京・麹町にある。「ほっ。」という名の、一見普通のこじんまりとしたバー。
メニューを見ると、お目当ての「理想に近い雲丹丼」と「理想の雲丹丼」を発見。ちなみに、いくら丼もいくら好きをうならせる分量のいくらを使っているらしく、こちらはランチタイム限定。ウニ丼のほうは昼夜いつでも注文できる。
さっそく2つのウニ丼を注文してみた。まず、こちらが「理想に近い雲丹丼」。
これだけでもウニがたっぷりのっていることがよく分かるが、続いてやってきた「理想の雲丹丼」に至っては、下のご飯が見えない。そしていずれも、みそ汁と冷やっこ付きだ。
見るもよし、つつくもよし、嗅ぐもよし、存分に外側から堪能して、いざ箸を入れる。
「理想に近い雲丹丼」に使われているウニは100グラム。「理想の雲丹丼」は180グラム。グラム数で言われてもピンとこないかもしれないが、「理想の雲丹丼」のほうは、板箱入りのウニが2〜3箱くらいの量である。これに対し、お米はいずれも茶碗1膳分程度。そして「理想の雲丹丼」のほうに至っては、特筆すべきは量だけではないのだ。上にのってるウニを一口、二口と口に運び、ようやくお目見えしたお米をよく見ると……。
なんということでしょう! 下が、ウニの混ぜご飯になっているのだ。上からも下からもウニ。死角なし。嗚呼、こんな幸せなことがあっていいのだろうか。実に罪深い。
息も絶え絶えに、幸せをかみしめながら丼をたいらげ、シメにみそ汁をいただこうと箸をのばしたら……、あれ? 具が……。
ウニだ!!! ウニのみそ汁だ……!
もうね、みそ汁にウニを入れるなんてね、罰当たりですよ、あなた。ここは、なんなの? ユートピアなの? おとぎの国……なの? それとも何? ウニ界のディズニーランド……?
ウニファンの夢が詰まったワンダーランドがそこにあった。
朝井麻由美(@moyomoyomoyo)は、体当たり取材・イベント取材を得意とするフリーライター。一風変わったスポットに潜入&体験した記事は100本を超える。主に「週刊SPA!」や「DIME」などの男性誌で執筆するほか、「日刊サイゾー」ではB級スポットを巡る「散歩師・朝井がゆく!」を好評連載中。ゲームと雑貨とパズルが好き。コスプレするのもわりと好き。ウニとイチゴがあればだいたいご機嫌。
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