埼玉県で7月に盲導犬が何者かに刺されてけがをした事件について、全日本盲導犬使用者の会(全犬使会)が公式サイトで緊急声明を発表した。
同協会は事件に対し「強い怒りと恐怖に震える思いでいっぱいです」と憤りを示し、こうした事件が二度と起こらないよう、再発防止対策や補助犬を傷つける行為への罰則を検討するよう求めている。
また刺された盲導犬がほえなかったとされることから、一部で「盲導犬は何があっても声をあげないように訓練されている」と伝えられ、「抑圧されて働かされる盲導犬はかわいそう」という声が上がっているという。全犬使会はこれを否定し「実際にはそのような訓練は現在行われていません。もしもそのような訓練がなされているとするならば それは虐待と捕らえられてもいたしかたないことです」としている。
盲導犬はボランティアや関係者、使用者から愛情と良質な飼育環境を与えられ、人間を100%信頼して生きているため、攻撃的行動に出たり、むやみに声をあげる必要はない、と全犬使会は説明。「彼らは抑制されることにより声をあげないのではなく、人間を信頼しているからこそ声をあげないのです」と述べ、正しい理解と啓発を求めている。
事件の報道後、模倣犯・愉快犯が出現するケースが見受けられるという。盲導犬の使用者、子ども、高齢者、障害者など社会的弱者が犯罪被害や街の中に潜む危険から守られるためには周囲の見守りの目が最も重要とも全犬使会は話している。「今回の事件の報道をきっかけに、日常生活の中で目にする社会的弱者の皆さんに対する思いやりある暖かなたくさんの見守りの目が広がり、緊急時に速やかに助けの手が差し伸べられる社会になって行くことこそが、犯罪をなくし、安心して生活できるための環境づくりに重要な要素となると思います」
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