ボカロ曲でユーザーと踊る村長、サイリウムを振るおばあちゃん 「ニコニコ町会議in檜原村」は桃源郷だった
「ニコニコ町会議全国ツアー2014」のFINALが、東京本土で唯一の村・檜原村で開催。Oculusにはしゃぐ村の小学生など、あらゆる世界が融合する1日に。
東京都本州で唯一の村・檜原(ひのはら)村で、ボーカロイド音楽のEDMバージョンを流しまくるDJ・ゆよゆっぺ&八王子P。鳴り響くビートに合わせ、村長がニコニコユーザーに囲まれながら跳ねる! 村のおばあちゃんたちも一緒にサイリウムを振る! ニコニコ動画の世界と檜原村が1つになっていく。
9月20日に檜原小学校(東京都西多摩郡檜原村)で「ニコニコ町会議FINAL in 東京都檜原村『檜原ニコニコ祭り』」が開催された。同イベントは、ニコニコ超会議」が全国の町をめぐる「ニコニコ町会議全国ツアー2014」の10カ所目でありFINAL。来場者数が約4000人、ネット来場者数が約16万人となった1日の模様をお届けしよう。
村長はオカリナを吹き、村民のゾンビもテープカットに登場
本来檜原村での町会議は去年の町会議ツアーで開催される予定だったが、台風でやむなく中止に(関連記事)。リベンジとなった今年は曇り空ながらも雨一粒ふることがなく、気温も17度前後と過ごしやすい環境での町会議となった。
檜原村は東京都の西に位置する、東京都本土でただ1つの村。総面積の93%が林野という緑豊かな地で、イベント会場の檜原小から見渡す限りが山だ。しかし校庭はすっかりニコニコムード満点。ステージトレーラーやテントが設置され、ヘアバンドによりニコニコテレビちゃんを頭にのっけた来場者、コスプレイヤーなどがわらわらと行き交う。
オープニングのテープカットには、檜原村長・坂本義次さんが「坂本義次ちゃんです」とおちゃめな自己紹介で登場。東京本土にたった1人の村長ということで、「そんちょぉぉおお」とそのレアな役職を客席が叫ぶ。「環境のいい村ですが、平成16年から光ファイバーを引いて実はネット環境もいいです。(在宅で)仕事もできますので、ぜひ大勢の若者に住んでもらいたいです」(by村長)。
さらに村長はオカリナの名手ということで、アンデス民謡「コンドルは飛んでいく」を独奏。山々を背景にオカリナの物悲しげな音色が響わたり、客席も手拍子しながら「シュールだ……」とざわつく。終わると名演に拍手喝采、司会の百花繚乱さんも「コンドルが見えました!」と評した。数ある町会議の1つに、こうして檜原ならではの思い出が色づいていく。
テープカットには、小さいころからずっと檜原村民という25歳女性・宇田裕美さんも飛び入り参加。セーラー服姿、ほっぺたに「檜原」と印したゾンビメイクで、「やばい子きた」とまたもや客席がざわつく。
宇田さんが「ようこそ檜原へ。ニコニコ町会議FINAL、盛り上がっていきましょうー!」と元気よく拳を突き上げると、会場も「いぇぇぇぇぇい」「かわいいー!」と沸き上がる。後ほど宇田さんに話を聞いたところ、「どれだけの人が檜原に来てくれるか不安だったけど、若い人がいっぱいきてくれてうれしいです。東京にもこんなに自然があることを知ってもらい、またぜひ来てほしい」と檜原をPRしてくれた。
檜原の小学生、Oculus Riftに大興奮
企画・準備・運営すべてをユーザーに丸投げする「町まるなげ広場」には、VRヘッドセット「Oculus Rift」を試せるブース「Oculfes」が登場。ジェットコースターを目・耳・風で仮想体験できるもので、来場していた檜原小学校の6年生3人組も興味津々だった。ちなみに檜原小は全校生徒60人、6年生は15人でみんな同じクラスだそう。
3人ともOculus Riftは初めて。いざ1人目の女の子が体験すると、顔を左右に振って仮想空間が連動するのをおもしろがる。ジェットコースターが下り始めた途端、「わ、わっ」と驚いて声を漏らし、ヘッドセットを両手でつかみっぱなしに。なんとジェットコースターが怖すぎて、途中からはヘッドセットを少しずらしてずっと現実の地面を眺めていたそうだ。
男の子は「おおおお」と興奮の声を漏らしまくり、ヘッドセットを外してから「すごくおもしろかった」としばらくえびす顔が止まらない。最先端のVR技術が檜原村にも衝撃をもたらしていた。
このように会場各所には楽しいコンテンツが満載。メインステージでは「町歌ってみた」「町踊ってみた」で来場者たちが歌や踊りを披露したり、校庭では大長縄跳びで対決をしたり。体育館では「町マインクラフト」や「町ゲーム実況」で檜原村がMinecraftで再現され、校庭の車では「町集合似顔絵」でお客さんらの似顔絵が1つの画に描かれ――と、それぞれ出演者・参加者一体となって盛り上がりを作っていく。
町ボカニコ、ボカロEDMで村民も来場者も一つに
「檜原村、ぶちあげちゃうぜーーー!」
やぐらの上に立ったDJ・ゆよゆっぺさんと八王子Pさんが叫ぶ。午後5時からは出演者もお客さんもボランティアスタッフもみんなメインステージに集まってエンディングフィナーレに突入。2人がプレイするボカロ曲に合わせて踊る「町ボカニコ」が始まった。
会場のボルテージが最高潮に達したのは、1つの“挑戦”からだった。「Weekender Girl」など3、4曲のボカロ曲を流したあと、ゆよゆっぺさんがみんなに語りかける。
「ぼくにとってはボカニコは今回4回目。ボーカロイドにも運営さんにも感謝する中、新しいことをもっと挑戦して行きたい。EDMっていう世界的に流行っているクラブミュージックのジャンルがあるんです。知らない曲かもしれない、知らないアレンジかもしれない。だけどよかったらオレたちと楽しんでくれませんか、檜原村ぁぁぁ!?」
みんなサイリウムをかざして「いぇぇぇぇい」と歓声で応えると、「ルカルカ★ナイトフィーバー」などボカロ曲のEDMバージョンが次々とかけられていく。さっきよりも重低音で浮き沈みのあるビートが檜原小の校庭に響き、制服の女の子も、ルイージのコスプレイヤーも、両手をつきあげ跳ねる、跳ねる。サークルを作って踊りもすれば、20人くらいで1列つくってやぐらを何周もぐーるぐる。
「さっき控え室で作りました!」と八王子Pさんが投じた「Sweet Devil」のアレンジでは、参加者たちが村長を囲んで「村長!」コールを開始。村長も笑いながらサイリウムを両手に跳ね続け、コンドルというよりはロケットのように飛んでいきそうだ。後方でも村のご婦人5人がニッコリとサイリウムふりふり。
2人の挑戦どおりボカロ音楽とEDMの垣根が取っ払われただけでなく、檜原村と来場者、ニコニコ動画と実世界、あらゆる世界が融け合い、1つに。檜原村は桃源郷だった。
最後に「ミクミクにしてあげる♪」が流れるとそのまま「さちさちにしてあげる♪」につながる。麗しきラスボスがメインステージに降臨した。
ビブラートたっぷりの千本桜、檜原村会場のフィナーレ
「悪霊退散!」と会場にマイクを向けるラスボス、すかさず「ICBM!」と返す会場のみんな。おなじみのフレーズ「光線銃を撃ちまくれ」の語尾に紅白レベルのビブラートが「ぇえぇえぇえぇえぇえぇ」とたっぷり利かされ、「幸子ー!」と歓声が飛び交う。
ラスボスこと小林幸子さんが、本ステージ3曲目となる「千本桜」でこれまた最高の一体感を作り出していく。前奏では大きな唐傘に隠れて赤いドレスから白いドレスへ速着替えするなど、注目の衣装でも会場を沸かせた。
町会議への降臨は、去年9月の名古屋市栄会場から1年ぶりだ。先に熱唱した「さちさち〜」「J( 'ー`)し カーチャン」も、発売したばかりのボカロ曲ミニアルバム「さちさちにしてあげる♪」から。みんななじみやすいためか、去年のステージよりも客席から合いの手や一緒に歌う声がすさまじい。ボカロ音楽の代表曲「千本桜」のサビではこの日一番の大合唱が。演歌歌手・小林幸子とニコニコユーザーとの掛け合いで、前回のピースフルとは違ったホットな調和が生まれる。
曲終わりには出演者みんなもステージへ、檜原小にいる全員が1つに。最後は小林さんの「ニコニコ!」という号令に合わせ「町会議ーーー!!!」と叫び、檜原村の町会議に幕が下りた。百花繚乱さんの言うとおり、いろんな価値観が「ニコニコ動画が好き」という想いで融合した1日。総括として、町ボカニコのラストでDJゆよゆっぺさんが放ったメッセージをどうぞ。
「これだけ別のジャンル・カテゴリが集まって1つになっているのはすごくいいこと。何回か町会議を回ってきたけど、正直みんなのことは同じニコニコが好きなを仲間だと思っているので! ここに集まれたことを誇りに思います、本当にありがとう!」(ゆよゆっぺさん)
(黒木貴啓)
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プライベート空間の確保にも。