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壁ドンは1日にしてならず――「壁ドンカフェ」でイケメン(人形)に壁ドンされてきたよ!

乙女の憧れ・壁ドンが体験できる「壁ドンカフェ」。イケメン人形「トロケッタ・マリアージュ」に壁ドンされてみた結果……。

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 今、世間は右も左も壁ドンだ。あまねく男性が膝枕を好きなように、女性なら壁ドン、という風潮になりつつある。ともかく、一度はされてみたいのが壁ドン。心ときめくのが壁ドン。甘くて苦いママレードのような壁ドン。なにしろ、筆者も壁ドンが好きである。「今夜どう?」と言われたら、二つ返事でOKしかねないくらい、壁ドンされる準備はできている。

 この持て余した壁ドン欲求、どうしてくれよう。燃ゆる思いを引っ提げてやってきたのは「とろける! 壁ドンカフェ」。原宿の「スイーツパラダイス」内に、期間限定で10月11日にオープンしたのだ。今後のオープン日は18日、19日、25日、26日。壁ドンの体験は無料だが、「スイーツパラダイス」の利用料金はかかる(中学生以上1530円、4歳〜小学生860円、3歳以下は無料)。なお、壁ドン体験の門戸は、男性も女性も誰にでも開かれている。

 お店に入ると、奥のほうに……いた。まさに壁ドンの格好で静止している「壁ドン人形」が!

 そう、壁ドンしてもらえると言っても、するのは人形。実際の人間だと、知らない男性に壁ドンされることで怖がってしまう女性が出てくる可能性があるため、人形になったのだという。ちなみに、壁ドン人形の名前は、トロケッタ・マリアージュ。フランスと日本のハーフの男性、年齢非公開、身長は180センチ、職業はバリスタだそう。趣味は「もちろん、壁ドン」、特技は「壁さえあれば、壁ドン」、好きな女性のタイプは「世界中の女の子たちが、オレのスイーツ」とプロフィール用紙に書いてあった。

 全身はこんな感じで、

 近づくとこんな感じである。


壁ドンメニュー

 「壁ドンメニュー」は、ツンデレ壁ドン、告白壁ドン、幼なじみ壁ドン、卒業壁ドン、本日のおまかせ壁ドン、の5つ。例えば「ツンデレ壁ドン」を選ぶと、「ワガママばっかり言うなよ! ……その唇、俺の口でふさいじゃうぞ」や「他の男に隙見せんな! ……隙見せるのは、俺の前限定にしとけよ」と言ったセリフをランダムで言いながら、「ドン」とされる。

 ちなみに、筆者(148センチ)の目線からは、壁ドン人形(180センチ)はこう見える。

 さて、こうして人形に壁ドンされてきたわけだが。結論から言おう。実は私は以前、生身の人間に壁ドンをされたことがある。それも、男性1人、女性1人、と計2回の経験があるのだ。記事の冒頭で「なにしろ、筆者も壁ドンが好きである」と知った風な口をきいたのも、そういうわけである。“壁ドン処女”という言い回しが正しいのかは分からないが、少なくとも、“初めて補正”がかからなかったのも手伝ってか、やはり人間との壁ドンに勝るものはない、というのが正直な感想だ。人形と生身の人間、人工物と人のぬくもり、どちらが良いかは、皆まで言わずともお分かりだろう。

 そしてもう1つ、分かったことがある。今回私は「壁ドンカフェ」に、電車に乗って、駅から歩いて、建物に入って、のこのこ“壁ドンをされに”やってきたわけだが……そうじゃないのだ。きっと、壁ドンは、そういうものではないのだ。壁ドンの格好で静止している人形の下をスッとくぐるようにして立ち、「あ、じゃあ、“ツンデレ壁ドン”をお願いします」とオーダーする。プログラムされた動きで、ドンとされる……違う。全然違う。壁ドンたるもの、“予定調和”ではいけないのだ。目の前にいる誰かに、されるようなされないような、そんな予感はあるものの、ほとんど不意打ちで、ドン! これこそが、真の壁ドンだと言えよう。

 さらに言えば、「※ただしイケメンに限る」とされがちなこの世の中において、壁ドンに関して言えば、必ずしもそうではないのかもしれない。いくら見目麗しくても、やはり見ず知らずの人に壁ドンされても、そうそうときめくものではないはず。筆者と、このトロケッタ・マリアージュ氏(壁ドン人形)は、この日、初対面だったのだ。信頼関係ゼロ。仮に、トロケッタ・マリアージュ氏が人形ではなく人間(イケメン)だったとしても、やはり同じ感想を抱いたことだろう。

 壁ドンとは、ふさわしい相手と、ふさわしい偶発的な状況があってこそのものなのだ。もちろん、「壁ドンカフェ」自体は、アトラクションとしては楽しい。だが、“壁ドンを体験する”というよりも、いつか本当の壁ドンをされるであろう来るべき日の予行練習くらいに思っておくのが、正しい楽しみ方なのだろう。壁ドンは1日にしてならず。

朝井麻由美(@moyomoyomoyo)は、体当たり取材・イベント取材を得意とするフリーライター。一風変わったスポットに潜入&体験した記事は100本を超える。主に「週刊SPA!」や「DIME」などの男性誌で執筆するほか、「日刊サイゾー」ではB級スポットを巡る「散歩師・朝井がゆく!」を好評連載中。ゲームと雑貨とパズルが好き。コスプレするのもわりと好き。ウニとイチゴがあればだいたいご機嫌。


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