将棋界史上最速でフリークラスに陥落し「史上最弱の棋士」と呼ばれていた熊坂学五段が、10月22日に行われた王位戦予選で棋界最高位の森内俊之竜王に勝利し、ネット上の将棋ファンを驚かせています。
将棋界では、プロ棋士になるとまず名人をかけて争うリーグ戦「順位戦」に参加するのが一般的。そこで成績が下位になると「降級点」がつき、3回降級点がつくと順位戦に参加できない「フリークラス」に陥落。その他の棋戦には参加できますが、そこで一定の成績を上げられないと10年で強制的に引退させられるという厳しい制度があります。
熊坂五段は2002年に24歳でプロデビュー。プロ入り直後の若い棋士は最新戦法などにも詳しいため最低限の成績は残せることが多いのですが、熊坂五段はなんと3期連続で降級点を喫してしまい、制度上最短でフリークラスに陥落し「順位戦史上最弱の棋士」の汚名を着せられてしまいます。一方、そのあまりに悲劇的な経歴から一部には熱狂的なファンもおり、ネット上では「クマー」の愛称でも親しまれています。
その後も引退を覆すだけの成績はあげられていなかった熊坂五段ですが、ラストイヤーとなるフリークラス10年目の今年に躍進。強豪棋士が多数出場する「NHK杯将棋トーナメント」で予選を勝ち抜き初出場を果たすなど、ここまで10勝4敗の好成績で、「年度成績17勝以上」といった順位戦復帰の条件を満たす可能性も見えてきています。
そんな中対戦することになったのが、棋界最高位「竜王」のタイトルを持つ森内俊之竜王。実績的にも熊坂五段の勝利は難しいと予想する人が大多数の中、序盤から優勢を築いて見事に大金星をあげます。「史上最弱の棋士」が果たした歴史的なジャイアントキリングに、長年応援していたファンは「映画化決定!」「今年一番将棋を堪能した」などと歓喜したほか、多くのプロ棋士もTwitter上で見事な対局内容を賞賛するツイートをしています。
(たろちん)
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