雄大な自然の中に突如現れる、黄金のピラミッド
「エジプトと温泉」。一見言葉だけ聞くとまったく脈絡がないように思えますが、そんな奇跡の融合を遂げた温泉宿が実はこの日本にあるんです。場所はのどかな田園風景と自然の山々が心を癒す、栃木県・那須塩原市。新宿からだと埼玉県大宮駅で新幹線に乗り換え、一時間半ほど。最寄の那須塩原駅(東北線なら西那須野駅)からは車で10分ほどで到着します。
宿泊代は部屋の種類によって異なりますが、一番安いもので「平日・素泊まり2600円」。(土・祝前日は3100円)トイレ洗面台は共同。他にもインターネット完備の部屋や天然温泉付の別館、ペット同伴で泊まれる部屋が完備されています(入湯税は別途150円)。宿でゆっくり食事……も良いですが、素泊まりでお得にエジプトを満喫したい! という方は、駅前の地元スーパーで事前に食料を買い込んでおくのがオススメ。素泊まりプランを選んだ記者も、地酒と栃木名物のレモン牛乳、いもフライ、スープ入り焼きそば、餃子……と車にパンパンに食料を積み込んでいざ出発!
スフィンクスの股をくぐって……
まるで異世界に来たような不思議な感覚に包まれつつ、スフィンクスの股をくぐってまずはとりあえずチェックインです。
全面金ピカではありますが、ギラギラした色ではなく落ち着いた渋みのある金色なので、目も疲れず意外とリラックスできます。
まるでエジプト博物館に泊まっているような、不思議な感覚に
荷物を置いてお茶をずずっといただいてほっこりしたあと、なによりもまずは温泉に入らねばと、タオルを抱えていそいそと大浴場へ向かう記者。しかし、この魅力溢れるエジプト温泉は、素直に浴場に向かわせてくれません。浴場へ向かう途中にあるのは、博物館レベル(?)の謎の展示物の山。
早く温泉に入りたいのに、個性が強すぎる謎の展示物に気をとられて、なかなか前に進めません。寒いのに、早く入りたいのに、なぜか見入ってしまう。なにこの妙な魅力。え、ここって本当に温泉ですよね?
長廊下の展示物は一見の価値あり! ……ですが、私はとにかく温泉に入りたい。
長い廊下の誘惑に負けまくり、体はすっかりヒエヒエ。「よし、ついに抜けた!」と思いきや、目の前にはとどめを刺すように巨大な壁画がドーン!! 思わず見入っちゃいました。ここはエジプト、そう、完全にエジプトなのです……。
ようやく念願の温泉に!
ようやくたどりついた温泉は、平日だからか人影もまばら。ほぼ貸切状態です。地下1200メートルから湧き出る源泉かけ流し。温度も39度〜42度と温度差のある浴槽が並んでいるので、のぼせることなくたっぷりと心ゆくまで漫喫できます。柔らかいお湯が優しく体を包み、極楽気分でふと周りを見てみると、……やっぱりここにもありましたエジプトパワー。
浴場の真上に位置するピラミッド型の瞑想室には、日本一の巨大な黄金根(木の根っこ)と水晶があるらしく、そこからの“気”が直接柱に流れ込み、背を当てるとピラミッドパワーが実感できるのだとか。
……うんうん、難しいことは分からないけど、とにかくすっごく気持ちいい。40分近く低い温度の浴槽と高い浴槽を交互に入り、のぼせることなく漫喫。肌もモッチモチです。
ちょうど脱衣所で着替えていた、地元の方にも話を聞いてみました。「この温泉は一風変わった温泉に見えるけど、地元じゃ毎日通ってる人も多いくらい有名な温泉なのよ。お湯が柔らかいし、広々と入れるから気持ち良くてね〜(40代主婦)」。確かに観光客よりも地元の方らしき姿が多く、それも20代の女子から80過ぎのおばあさんまでと幅広い年齢層に支持されているみたいです。ちなみに地元だと、当たり前のように「今日もエジプト行っちゃう?」という言葉が飛び交っているのだとか。わーお、なんかグローバル……。
やってみました、ピラミッドパワーの中で瞑想体験!
浴室にもあった気柱の2階部分、100人は寝られるという巨大な瞑想室に入ってみました。ピラミッド型の室内の中央には巨大な黄金の木の根っこがおかれ、確かに他の部屋とは違うオーラに包まれています。瞑想料は840円。アルファー波効果のある音楽を聴きながら瞑想を行うと、心身ともに深くリラックスできるのだとか。とにかく荘厳というかなんというか……。ピラミッド型の室内の空間と、巨大な根っこに終始圧倒されまくりでした。
1泊2日じゃ足りないくらいの“ピラミッドパワー”に大満足!
ピラミッドパワーたっぷりの温泉に入りまくり、館内の博物館を堪能しまくり、これで3250円(入湯料込)は安すぎます。しかも宿泊施設の外にも、エジプトをモチーフにした建造物や、なぞの孔雀など見どころがたっぷり。
雪とエジプトという現実じゃありえないコラボが堪能できるのもここだけかも? そうしてまたスフィンクスの“股”を通って帰ろうとしたとき、スフィンクスの尻に何かを発見。
最後までとことんエジプト三昧ができるこの「ピラミッド温泉」。温泉の癒しとくつろぎだけでなく、徹底した非日常とグローバルな雰囲気さえも味わえるなんて一石二鳥どころじゃない。栃木というと、日光・鬼怒川ばかりが目立ちますが、今年はこんな変わり種温泉もいかがでしょうか?
(青山ゆずこ)
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