誰もが気軽に楽しめるシンプルなルールながら、奥の深すぎる頭脳ゲームとしての一面も持つ落ち物パズルゲーム「ぷよぷよ」。トッププレイヤーたちは大連鎖や小連鎖を高速で組み上げながら、相手の画面を見て瞬時に複数の対応パターンを切り替えるといった人智を超えた技術を持っているのですが、近年コンピュータプログラムによる「ぷよぷよ最強AI」と呼ばれる存在が登場。人類トップクラスのプレイヤーとコンピュータによる「将棋電王戦」のようなアツい戦いが繰り広げられています。
ぷよぷよ界に激震が走ったのは2012年5月に行われた「第1回 人類VS最強AI ぷよぷよ通対戦」。ぷよぷよでは有志によるリーグ戦によって「A級」「S級」といった格付けが行われているのですが、全国レベルのA級プレイヤーたちがtestさん(@test_lockit)の開発したAI「niina」にダブルスコアで大敗するという事件が起こりました。トップレベルの対戦では、連鎖を組む技術はもちろん相手のフィールド状況やネクストぷよを見て小連鎖で牽制を入れるなどさまざまな戦術・駆け引きが重要になるのですが、niinaはそれぞれの対応に特化した3パターンのプログラムを用意して、その実力を広く知らしめます。
その後、2013年8月についにS級プレイヤーの1人かめ(@kamestry)さんが「ぷよぷよ電脳戦」としてniina最新型などのプログラムと100本先取の対戦を実施。こちらも熱戦を繰り広げたものの71対100で敗れてしまいます。
ただし、当時はまだ実機上でAIを動かす術が開発されておらず、これらの対決で使用されたのはぷよぷよ通クローンのクライアントソフトを使用したプログラム。ほとんど理論上最速レベルでぷよを操作する上位プレイヤーの間では、使用する実機やモニターの描画速度など極めてシビアな環境の違いも不利に働いてしまうため、まだ対等な条件での実力は人間側が上なのではないかという見方も強く残っていました。
しかしその後、エンジニアでありぷよぷよプレイヤーでもあるmayahさん(@mayah_puyo)が、AIを実機上で動かす技術を開発。Wii版のぷよぷよ通(バーチャルコンソールアーケード)で動作するAIに続き、2015年2月にはとうとう人間のトッププレイヤーが最も得意とするゲームセンターのアーケード筐体で対戦可能なAIが誕生します。
アーケード版最強AI展示会の様子はニコ生で中継され、その脅威の強さに多くのぷよらーが震撼。mayahさんはさらに人間に近い連鎖と戦術を選択するという新たな最強AI「mayah」も開発しており、「2015年中に人類を終わらせる」とまで公言しています。一方、ぷよぷよS級リーグでは近年「人類最強」と称されていたプレイヤーmomokenさん(@momoken6)が格付けリーグ戦からの引退を表明するといった騒動も起こっており、人類対最強AIによるぷよぷよ決戦の行方に多くの注目が集まってきています。
(たろちん)
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