フジのバラエティー番組がBPO審理入り 「再現ドラマで名誉毀損」の申し立てで
ストーカー事件を再現したドラマに対し、社内イジメの首謀者とされて名誉を毀損されたとの申し立てがあった。
BPO(放送倫理・番組向上機構)は5月19日、フジテレビで放送されたストーカー事件再現ドラマに対する名誉毀損(きそん)の訴えを受け、審理入りを決定した。
問題のドラマは3月8日放送のバラエティー番組「ニュースな晩餐会」で流れたもの。地方都市の食品工場を舞台にしたストーカー事件と、背景にあったとされる社内イジメ行為を取り上げ、被害者のインタビューや取材協力者から提供された映像、再現ドラマを合わせて編集したVTRを放送した。固有名詞は仮名にし、加害者らの映像に加工を施していた。
これに対して、ある地方都市の食品工場で働く契約社員の女性が、名誉を毀損されたと訴える申立書をBPOに提出した。放送されたのは自分の職場で、自分が社内イジメの首謀者とされ、ストーカー行為をさせていたとみられる放送内容だとして、謝罪・訂正と名誉の回復を求めた。申立書では「取材は被害者の一方のみ、加害者の調査は一切していない」とし、取材を受けたとされる被害者らが、事件が番組で放送されることを放送前に社内で言い回り、その後の放送で女性と家族が精神的ダメージを受けたと主張している。
フジテレビは、「特定の人物や事件について報道するものではなく、事実を再構成して伝える番組」だとし、人物が特定されないよう配慮しているため相手方側の取材を行う必要性がないと主張。また名誉を毀損されたとする女性の申し立てについては、番組の放送自体ではなく、事件について放送されると会社の中で流布されたことが原因と考えられるとし、「番組の放送による人権侵害があったとは考えられない」としている。
BPOは申立てが審理要件を満たしていると判断して審理入りを決定した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 「キモイ」発言 おぎやはぎの番組で侮辱されたとする大阪府議からの申立 BPOが問題なしと判断
山本大阪府議がLINEで中学生とトラブルになった問題を受け、オープニングトークで「思いついたことはキモイだね。完全に」とおぎやはぎが発言。府議が放送人権委員会に申し立てていた。 - BPO、佐村河内氏を紹介した番組に対して見解示す 「裏付け取材は不十分だが、放送倫理違反とまでは言えない」
ただし、各局の自己検証結果の公表を要望している。 - BPO、テレ朝「報道ステーション」の川内原発報道について「客観性と正確性を欠き、放送倫理に違反している」
「フェアな報道姿勢とは言いがたい」と説明。 - BPO、静岡放送の「約束に反して顔出し放送」に「放送倫理上問題あり」の見解
BPOは「肖像権侵害があったとは認められない」としつつも、約束に反したことには「放送倫理上問題がある」としている。 - フジ「IPPONグランプリ」を佐村河内氏が申し立て BPOで審理入りへ
名誉を傷つけ、さらに「児童・青少年に対する集団いじめ」を容認・助長すると訴え。フジテレビは反論している。 - 「スッキリ!!」など2番組がBPO審理入り 大阪府議のLINE問題めぐる「キモい」発言で
山本景・大阪府議会議員のLINE問題を取り上げた番組で、出演者による「キモい」発言があり、府議が人権侵害を申し立てていた。 - TBS「アッコにおまかせ!」、BPOで審理入り決定 佐村河内氏申し立てで
人権侵害はあったのか。 - 約束に反して“顔出し”放送 静岡放送の報道番組がBPO審理入り
放送局側は約束があったことを認めている。 - 安易な「顔なしインタビュー」は放送するべきではないとBPOが提案
テレビの信頼低下を招く。 - 放送中止の「ほこ×たて」にBPOが意見 「重大な放送倫理違反があった」
BPOが放送中止になったフジテレビのバラエティー番組「ほこ×たて」に関する意見書を発表しました。