「チョコレートはダイエットに効果的」――少し前、そんな甘い研究論文がネットを騒がせました。チョコレートを食べてダイエットになる!? そんな夢のようなダイエット方法は、たちまち世界中のいろんなメディアで紹介されました。
ところが、実はこれは巧妙な「釣り」。論文を発表した「Institute of Diet and Health」などという研究機関は存在しておらず、論文もまた「科学ジャーナリズムの適当さ」を浮き彫りにするために発表したものだったのです。
この研究では被験者を「低炭水化物ダイエットを行うグループ」と「低炭水化物ダイエットをしつつ、さらに毎日42グラムのチョコレートを与えるグループ」と「好きなものを食べさせるグループ」の3つに分け、数週間後に彼らの体重、BMI、ウエスト対ヒップ比を計測しました。そしてその結果、「低炭水化物ダイエットをしながらチョコレートを与えたグループ」が一番効果的にダイエットできたというのです。
しかし先日、海外のブログに「I Fooled Millions Into Thinking Chocolate Helps Weight Loss. Here's How.(私は何百万もの人々を騙してチョコレートがダイエットに効くと思わせることに成功しました。その方法がこちらです)という、この論文の「タネ明かし」が掲載され、またも注目を集めました。
書いたのは論文の発表者本人で、彼の主張によると、この「チョコレートダイエット」論文は、いいかげんな科学ジャーナリズムが人々をどれだけ騒がせ、どれだけの人が騙されるかというシニカルな実験のために発表したものだったそう。実際、論文は日々ダイエットをしている人たちに大きな衝撃を与え、多くのメディアがこれをニュースとして大々的に取り上げました。
ちなみに論文内で使われていたデータはすべて本物だそうですが、極めて偏ったデータであり、とても研究とは言えないものだったとのこと。科学ジャーナリズムの問題点を浮き彫りにし、メディアを騒がせた今回のユーモラスな実験は、デマに踊らされやすい現代社会の脆弱性を知る良い機会だったのかもしれません。
(煩先生)
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「本当に残念です」とも。
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