改正道路交通法施行により、6月1日からは悪質な自転車の運転者に対し、安全講習の受講が義務付けられるようになりました(関連記事)。ここでいう「悪質」な行為とは、信号無視や右側通行、酒酔い運転など14種類。中には「イヤホンで音楽を聞きながら運転すること」なども含まれています。
そんな中、ネットでは「イヤホンで音楽を聞いていても、片耳ならばセーフ(両耳だとアウト)」というウワサが流れています。ところがいざ6月1日になってみると「片耳でも注意された」といった声が続出。一方で、「警察官に聞いたら片耳なら大丈夫と言われた」といった声もあり、どうにも情報が錯綜しています。気になったので、警視庁に電話で問い合わせてみました。
東京都では「片耳でも注意を受ける可能性がある」
「東京都の場合ですが、結論から言うと、イヤホンが両耳か片耳かは関係ありません。片耳でも注意を受ける可能性は十分にあります」(警視庁 交通相談コーナー 担当者)
ええええ、やっぱりダメなんですか!
実は自転車でのイヤホン使用は、6月1日から急にダメになったわけではなく、以前から道路交通法第70条が定める「安全運転の義務」の中で「安全運転に必要な音や声が聞こえない状態での運転」として禁止されていました。
「東京都では原則、この『必要な音や声が聞こえているかどうか』を基準に取り締まっています。イヤホンが両耳か片耳かで判断することはありません」(同担当者)
なるほど、つまり、片耳であっても両耳であっても、周囲の音が聞こえないような大音量で聞いていれば注意を受ける可能性があるということになります。
神奈川県ならセーフ!? この食い違いはどこから
しかし、これはあくまで東京都の場合。実はこの判断基準は自治体によって異なり、中には片耳ならOKとしている自治体もあります。
例えば神奈川県警察のサイトにある「神奈川県道路交通法施行細則の一部改正について」というページを見ると、ここにははっきりと「片耳でのイヤホンの使用は、『安全な運転に必要な音又は声が聞こえない状態』とはならないため、違反となりません」という記述があります。それどころか両耳で着用していても、小さい音量で使用していれば違反とはならないそう。ネットで出回っていた「イヤホンで音楽を聞いていても、片耳ならばセーフ」という説も、どうやらこのあたりから広まったもののようです。
これらの食い違いは、道路交通法にある「安全運転に必要な音や声が聞こえない状態」の解釈や判断基準が自治体や警察署によって異なるために起こっているようです。今後何らかの統一基準が打ち出される可能性もあるかもしれませんが、今のところはウワサを鵜呑みにせず、「各自治体の警察署に直接確認してみる」のがもっとも確実と言えそうです。もちろん、大原則として「安全運転に必要な音や声が聞こえない状態」での運転は禁止されているということをお忘れなく!
訂正(6月4日午後2時30分)
初出の見出しと本文中の一部表記について下記のとおり修正しました。
東京都では「片耳でもダメ」→東京都では「片耳でも注意を受ける可能性がある」
道路交通法第71条→道路交通法第70条
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