米サウスカロライナ州チャールストンの教会で起きた銃乱射事件をめぐり、ディラン・ルーフ容疑者がTumblrに声明や「マイリトルポニー」のことを書いていた――米国で大手新聞がこのように報じていましたが、英国の16歳の少年が仕掛けた“釣り”だったことが分かり、記事を修正しました。
これを報じたのはNew York Timesの記事。英国のブロガー、ベンジャミン・ウェアリングさんのコメントとして、容疑者が自身のサイトに記していた人種差別的な声明(参考記事)と似た文章をTumblrにも掲載していたこと、Tumblrに9.11(2011年9月11日の同時多発テロ)に関連したコラ画像やアニメ「マイリトルポニー」の画像を載せていたと伝えていました。これらの証言はウェアリングさんのでっち上げだったのです。
ウェアリングさんは自身のブログでこのような釣りを行った理由やその方法を説明しています。「世界の隅々に届く国際的なニュースの結果を、どのくらい簡単に変えられるのか、友人の手を借りてちょっとした実験をしたかった」。その手法は「とても簡単」だったといいます。
偶然にも、ウェアリングさんの友人が事件の数週間前にルーフ容疑者とFacebookで友達になっていました。容疑者は面識のない相手を無作為に友人として追加していたようです。ウェアリングさんは、記者が容疑者のFacebookの友人に話を聞こうとするだろうと考え、記者に話すストーリーを練り上げました。
ウェアリングさんに取材したFusionによれば、この友人のもとに記者からの問い合わせるメッセージが送られ、友人は記者にウェアリングさんを紹介。ウェアリングさんは実在しない容疑者のTumblrの話を記者に語りましたが、スクリーンショットなど証拠となるものは見せませんでした。
「スクリーンショットなど、僕の言葉以外に(Tumblrの)存在を証明する証拠は何も提供していないのに、記者はそれを事実として記事にした」(ウェアリングさんのブログより)
New York Timesはその後指摘を受けて記事を修正。ウェアリングさんが語った部分は削除されています。ウェアリングさんは自身のコメントが掲載された記事のスクリーンショットや記事へのリンクをブログに複数掲載しています。
ウェアリングさんは、これは目的のない釣りではなく、でっちあげの証言がいかに簡単に大手新聞社に使われるかという実験だとしています。「ぼくはニュースを提供するすべての企業が好きだけど、みんながだまされないよう、よりよい報道を求めている」。ウェアリングさんはジャーナリスト志望。将来自分の書く記事は「真実」であり「勤め先に恥をかかせない」ものになると語っています。
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