毎月29日にしか店頭販売しない幻(?)の和菓子、その名も「肉球どら焼き」をご存知でしょうか? あんこたっぷり、ふわふわの皮に猫の肉球印が押されたどら焼きは猫好きファンなら、甘物好きじゃなくても思わず買ってみたいと思う魅力的な商品です。
昨年12月よりインターネットで先行販売され、今年1月から店頭販売が始まったこの和菓子は、地元メディアに取り上げられ、イベントからの販売要請もあるといった盛況ぶり。現在では、この商品を求めて関東各地から足を運ぶお客さんもいるとか。うなぎ登りの人気を博す「肉球どら焼き」。どんなものかと好奇心に誘われて実際に尋ねてみました。
訪れた場所は、神奈川県川崎市にある創業83年の老舗和菓子屋「新岩城菓子舗」。毎月29日は「肉球祭り」と名付け、店先には肉球にちなんだグッズなどが並べられています。
店内に入って、すぐに目に付いたのは、鮮やか黄色の包み紙をまとった箱の山。
近寄ってみると、なんと肉球柄の包装紙! カラフルでとってもキュート。しかも、どら焼き3つが入る箱までおそろいといった、すごい懲りようです。
その隣には、単品売りのどら焼きがズラリと並んでいます。
いくつ購入しようかと考えながらも、実は別のことにも気をとられていました。それは、猫が描かれた漫画のチラシ。店内を見渡してみると、ところどころにお目見えしている猫のキャラクター、一度見るとそうは簡単に忘れないインパクトの強さ。「肉球祭り」だから、猫のものがあって然るべきですが、この猫は一体何者なのか、気になります。
そうこうするうちに賑わっていた店内が一瞬落ち着いたので女将と話すと、意外な事実に大興奮! なんと、この肉球どら焼きは「少年サンデーS増刊」(小学館)で連載中の「野良猫世界」とのコラボ和菓子だったのです。しかも作者のSP☆なかてまさん(以下、なかてまさん)側から持ちかけてくれたというもの。
もともと、なかてまさんはココのどら焼きが大好き。自分が食べる以外にも、ご自身作のキャラクターシールと一緒にお土産として利用していたそう。そんなことからアイデアを得たのか、なかてまさんは、「野良猫世界」に登場する主人公ならぬ主人猫「ノブナガ」が、自分の肉球をどら焼きの皮に押し付けたという、「肉球どら焼き」の誕生ストーリーまで考えてくれたのです。
さてこの柄、実際はどうやって作るかというと、特注の肉球焼印で押します。朝焼いたどら焼きの皮にランダムにペタペタと。そうすると、猫が歩いたような跡が完成!
朝8時に焼き上げる「肉球どら焼き」は、午前中で完売することが多かったため、先月から15時と18時にも焼くようになったそうです。さらに「野良猫世界」とのコラボ企画はNEWアイテムを続々誕生させ、今では売り切れになる商品も続出しています。
女将に今後の展開を尋ねると「なかてまさんと話していると面白いプランが飛び出してくるので、いろいろとやっていきますよ! そのひとつに7月より始めた「買育」があります。小学生以下のお子さんは1個だけ半額で購入できます。しかも100円持ってきたら10円のお釣りを手渡す――そんな昔の商店であった買い物体験をしてもらいたいと思って始めました」とのこと。
肉球メニューからユニークな企画まで、これからも何が行われるか楽しみですね。毎月29日は、カレンダーに赤丸を付けておかないと!
新岩城菓子舗
神奈川県川崎市幸区南幸町1-1
8時〜20時/不定休(事前告知あり)
(茂木宏美/LOCOMO&COMO)
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