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米と戦わず英蘭と戦わば勝てたのか?──艦これ提督的ウォーゲーム要務令「大東亜戦争」編ワレ真珠湾ニ奇襲セズ!(1/3 ページ)

敗戦から70年の日に大東亜戦争のIFに思いをはせる。海軍と陸軍が対立しなければ日本は勝つことができるか。その1つのヒントをボードウォーゲームに求めてみる。

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戦争は1941年の7月から始まる1945年12月まで続く

 やあ、提督さん久しぶり。「艦隊これくしょん」夏イベント・第2次SN作戦の戦況はどんな感じかな。ぼちぼち順調でもうすぐFS作戦海域に到達できそうな勢いと。それは何より。

 そういえば、きょうは終戦の日だね。え、終戦の日は9月2日でしょうと。おお、さすが提督さん、よく知っているね。そう、日本政府全権が米海軍の戦艦「ミズーリ」で降伏文書に調印した9月2日を第2次世界大戦の終戦記念日としている国は多い。

 ただ、日本では8月15日を戦争が終わった日として思いをはせる人がほとんどだね。玉音放送を聞いてほとんどの日本人が戦争に負けたことを認識した8月15日は、これからも戦争が終わった日であり続けると思うんだ。

 艦これ提督さんなら、日本が太平洋戦争でどのよう戦って負けていったのかは、もう知っているよね。ん? 真珠湾攻撃をしないで米国とは戦争をせず、南方資源を確保するために英蘭とだけ戦争をしていたら、日本は勝っていたんじゃないのか? ってか。ほっほうー、よく調べているね。

 ならば、そういう選択をしたとき戦争はどうなったのかをボードウォーゲームで実験してみようか。ちょうど、この8月15日に登場した「大東亜戦争」というボードウォーゲームで試すことができるんだ。

ゲームジャーナル別冊6号として敗戦から70年の日に登場した「大東亜戦争」は、パッケージに付属するシートの多さに圧倒されるかもしれないが、シナリオカードとカードシートがほとんどで、ゲームに使うシートは3枚。駒シートも2枚(駒の数は400個)に収まっている

マップは重要拠点を航路や道路で結ぶ「Point to Point」方式を採用する

陸軍も登場するので中国戦線やビルマ戦線もマップとして用意して、一号作戦やインパール作戦を実施できる

 「大東亜戦争」は、ボードウォーゲームの専門誌「GameJournal」を出版しているゲームジャーナル社が出版した太平洋戦争、いや、今回は、大東亜戦争と呼ぼうか、その大東亜戦争をテーマにした戦略級のボードウォーゲームだ。大東亜戦争の戦略級ボードウォーゲームといえば、2014年に登場した「太平洋戦史」もあったね。こちらもボードウォーゲーム専門誌「コマンドマガジン」を出版している国際通信社の製品だ。太平洋戦史では、開戦から戦争の大勢が確定したレイテ作戦までを2〜3時間でできる分かりやすいシンプルなルールで、空母戦艦重巡洋艦が1隻単位で登場(コマンドマガジン124号に水雷戦隊が登場する追加ルールとユニットが付属している)して、資源を“溶かし”ながら海軍逸話を反映したカードイベントを駆使して戦うことができた。

 分かりやすいルールと短時間でゲームが終わるために、できるだけシンプルな構造にした太平洋戦記とは対照的に、大東亜戦争では、開戦のタイミングから海軍だけでなく陸軍の中国大陸やビルマにおける戦い、そして、航空戦艦への改装や戦争中に登場する艦艇の建造に航空機、兵器の開発、さらには、日本陸軍と海軍の対立や戦争指導にかかわる国家体制まで盛り込んだルールになっている。

 太平洋戦史と比べて、ルールは複雑で駒や使う表の数も増えていて、ゲームにかかる時間も長くなった。ただ、昭和の世のボードウォーゲームブームの末期に登場したような「プレイ不可能なビッグゲーム」ではなく、ルールのボリュームやゲームの中で行う“手間”を少なくする工夫をして、分かりやすく、そして、ゲームの時間を短くする努力をしている。デザイナーの意図としては、8時間程度で終わることを目指している。

駒には陸海空それぞれで大きい主力駒(ラージユニット)と小さな支援駒(スモールユニット)がある。主力駒は軍、主力艦、大規模基地航空隊を表し、支援駒は師団、補助艦、小規模基地航空隊を表す

主力駒と支援駒を用意したのは中国戦線の特殊な戦いを再現するためだ。中国軍のほとんどは支援駒で、日本の主力駒は支援駒を蹴散らすことができるが数がわずかで、占領した拠点に守備隊として配置した支援駒が中国軍の支援駒と戦って苦戦することになる

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