チベット仏教において回転させた数だけ経を唱えるのと同じ功徳があるとされている仏具「マニ車(まにぐるま)」も、食を愛する日本人の手にかかればこうなる。「マニ車付き納豆かきまぜ棒」の誕生です。
「マニ車付き納豆かきまぜ棒」は、小型のマニ車(マニ・ラコー)の持ち手に納豆かき混ぜ棒を取り付けた最強の仏具。取っ手部分はレジンキャスト製で金色に塗装し、かき混ぜるリズムに合うように分銅の鎖を少し長めに改良したそうです。納豆を混ぜれば混ぜるほど、その動きにあわせてマニ車が回転し、功徳がどんどん積まれていきます。
制作したげんれい工房さんによると、このマニ車は「孤独のグルメ season4」の特別編「真夏の博多出張スベシャル」での台詞「納豆をかき混ぜると言う行為、それは祈りだ。」を聞いて思いついたとのこと。食と祈りを結びつける日本人らしい精神を持った五郎がいなければ生まれなかったんですね……!
すごい発想だな! と感心する一方で、「そんな風にマニ車を使うだなんて怒られるんじゃないの?」と思う方も多いはず。大丈夫。チベット仏教の本場では、水力や風力を使って回すマニ車があったり、車のダッシュボードに光を受けて回り続けるソーラーパネル付きのマニ車をつけていたり……徹底的な効率化をはかっています。利用できるものはありがたく使わせていただくスタンスのようです。その点「マニ車付き納豆かきまぜ棒」は人力であることを考えると、浅慮ながら「これはかなり徳が積めるのでは」とドキドキしてしまいます。
チベット仏教では、すべての生きとし生けるものは輪廻転生すると考えられており、人々は「来世」の幸せを願って祈りをささげるのだとか。次第に粘り気を増していく納豆をかき混ぜながら、来世に期待。
(高城歩)
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