日本の児童買春などの状況を調査しに来日した国連の特別報告者が「(日本の)女子学生の13%が援助交際を経験している」と発言したことについて、11月2日に外務省は抗議し、13%という数値の情報源と根拠を開示すべきと申し入れました。
発言は、10月19日から来日していたマオド・ド・ブーア・ブキッキオ氏が最終日の26日に記者会見で口にしたもの。マオド氏は国連の人権理事会が任命した「児童売買,児童買春及び児童ポルノに関する特別報告者」で、世界中の児童の売買・売春・ポルノについて調査し、国連総会と人権委員会に状況を報告しています。日本でも調査を行い記者会見で「……例えば例としては援助交際があります。これは女子学生の13%は現在『援交』をやっているというふうにも言われているわけで……」と発言しました。
13%の根拠を示すべきという外務省の抗議に対し、報告者側の人権高等弁務官事務所(OHCHR)は11月2日に書面で釈明。訪日中に公式な数値を受領したことないものの、13%という数字は“公開情報から見つけた概算”であり、同件が緊急に対応すべきである点を強調するために言及した、と発表しました。
外務省は7日、OHCHRへあらためて抗議と発言撤回を要求。書面では13%の情報源と根拠が明らかにされていないため説明にまったく説得力がなく、例の発言は「不適当かつ極めて遺憾だ」と表明しました。国連の肩書を持つ人が発言すると、事実であるような誤解を生むため影響は深刻。さらには情報源を明らかにできない情報を「緊急に対応すべき」だからと引用し、記者会見や報告書で例に挙げてしまう考えは「到底受け入れられない」とし、発言の撤回と、2016年3月に人権理事会に提出する報告書では客観的データに基づく内容にすることを求めました。
OHCHRは日本側の申し入れを特別報告者本人に伝え、対応するよう要請したとのこと。外務省はこの件について引き続き、発言撤回と客観的データに基づく報告書の作成を強く要求していくと述べています。
(黒木貴啓)
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