メタボリックシンドロームや生活習慣病などの話題があがるたびに、浮上するワード「日本人の食の欧米化」。肉を摂取することは不健康だ、というマイナスイメージが「吉野家の牛丼」にも波及している事態を懸念した吉野家が、成人男女に「冷凍牛丼の具」を通常の食事にプラスして3カ月毎日食べ続けてもらった際の身体への影響を調査し、結果を発表しました。
研究内容は、20歳から65歳未満の成人男女24人(平均年齢44.8±8.5歳)を対象に、日常生活の中で「冷凍牛丼の具」を毎日必ず1食加えて摂取することを12週間継続してもらうというもの。開始前と開始後で、身体計測及び生理学的検査、臨床検査値、尿定性検査値の変動と、有害事象の有無、種類、頻度、重症度を調査し、試験責任医師らにより評価を受けます。……お、おおガチだ。
そのほかに、食事内容(回数、量)、飲酒量、運動量、便通、睡眠時間、特定保健用食品などの摂取、自覚症状、医療機関の受診、治療内容、医薬品の使用などの調査を日誌調査により行うなど、調査への本気度がうかがえますね。ちなみに被験者にドロップアウトした方はいなかったようです。
体重や体脂肪率などを見ると、摂取開始前と摂取12週間後ではあまり差が出ていないことが明らかとなっています。食事環境にもよると思いますが、むしろところどころ数値が減少しているあたりが気になります。
血液生化学検査の結果でも、LDH(またはLD。糖を分解してエネルギーを産生するときに働く酵素の一つ)と、Cl(電解質成分のひとつ)以外の項目で、摂取前と摂取後で統計的に有意な変動は見受けられません。なお、変動のあったLDHとClも正常範囲内の生理的変動と診断されたそうです。血液学的検査、尿検査の結果においても同様の結果だったそうです。
医学をかじったことのある方以外はなじみのない専門用語が飛び交っていますが、早い話が「問題なし」「吉野家の牛丼の具のせいでメタボになったり、生活習慣病になるリスクは少ない」ということ。
結果、「牛丼の具」の12週間連続摂取は、生活習慣病の原因となるメタボリックシンドロームにつながる、体重や体脂肪率、血圧、中性脂肪、コレステロール類、血糖値などに関わる大きな変動を引き起こさないことが分かりました。
ちなみに、吉野家の牛丼の具の脂肪酸分析の結果、脂肪酸の半分は飽和脂肪酸(エネルギーになる脂肪酸)であり、残りのほぼ半分は、オリーブオイルに多く含まれるオメガ9系脂肪酸で、LDL-コレステロールが下がるなどと言われているオレイン酸であることが判明。また、過剰摂取が心配されているオメガ6系脂肪酸は、吉野家の牛丼の具にはほとんど含まれていないことも公表されています。
健常な成人男女および、血糖値の高めな方でも、摂取前と後でなんら健康リスクが増加する兆しは見られなかったことが証明された今回の調査結果。日々の食事のバランスさえ気をつければ吉牛はメタボの“敵”じゃなかったんだ! これからもおいしく吉野家の牛丼をいただきまーす!
(高城歩)
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