2月2日、上野動物園にて毎年恒例の「猛獣脱出対策訓練」が実施されました。「猛獣脱出対策訓練」は年に一度、多摩動物園と上野動物園で交互に実施しているもので、今年は動物園職員、それに警察、消防合わせて150人もの職員が参加する大規模なものに。報道陣の中には海外メディアの方も多数見かけたということからも注目度の高さが伺えます。
訓練は開園中の動物園で地震発生により、放飼場の柵が倒れてシマウマ1頭が脱出したことを想定して行われました。訓練開始のアナウンスが流れ、待機していると、職員から「シマウマがこちらに向かってくる可能性があると連絡がありました」と告げられます。
遮断網越しに二足歩行のシマウマを確認! 遮断網を持った職員たちは「わー!」「おい!」などと大きな声を出し、網を支えた棒や靴で大きな音を出して威嚇します。これがまたすごい迫力で、シマウマもビビッています。ここで捕まるのと思いきや……。
ドーーーーン! シマウマ、遮断網に突進し包囲網を突破! シマウマに突進され、負傷した職員には速やかに救急救命処置が施されます。
訓練に偶然居合わせた来場者からは、あくまでも真面目な訓練なのにもかかわらずシマウマの着ぐるみのかわいらしさからか「シマウマ二足歩行だよ〜シュール!」「超面白いんだけど」といった声や「がんばれー」とシマウマを応援する声が。何これ、心がほっこりするんだけど……!
各所に遮断網を整備し、だんだん追い詰められていくシマウマ。ちなみに、この間にも遮断網に突撃し職員が1人負傷しています。そんなパニック状態で周りが見えなくなっているシマウマに動物病院車両が近づきます。
動けなくなったシマウマを、麻酔が本当に効いているか車両から棒でつついて確認します。そしてシマウマは網で包まれてトラックに積み込まれていきました。
訓練後、シマウマの中の人は頭を取り、スタッフと共に集合。なんと中の人は女性でした! そして各関係機関からの総評後の囲み取材では、園長と一緒にメディアに質問攻めにあっていました。
訓練は必ずしもシナリオ通りなわけではなく、状況に応じて柔軟に対応して行っているとのこと。園長は「偶然訓練に居合わせた、言葉の通じない外国の方々への対応などの改善すべき点はあるものの、訓練はうまくいった。改善すべき点は今後に生かしていきたい」と語っていました。
来場者の安全を守るため、来場者に「いい動物園だ」と思ってもらうため……。猛獣が二足歩行で園内を徘徊する一見ゆるくてかわいらしい訓練を通じ、「安心」「安全」を想う職員1人1人の真剣な姿勢が伝わってきたことで上野動物園が今まで以上に好きになりました。
(ちぷたそ)
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