パナソニック、同性婚や事実婚の福利厚生を検討 社員の同性カップルからの相談がきっかけ
日本の大手企業による、性的指向の差別を無くそうとする動き。ほか企業への波及効果も見込まれます。
パナソニックは2月18日、同性婚や事実婚の社員に対しても法律婚に準じたルールを適用できるよう、社の行動基準の見直しを検討していることを明らかにしました。見直しが決定すると、国内社員は同性カップルであっても慶弔休暇や介護休業など福利厚生が受けられるようになります。
検討の背景は、同性カップルである社員から同性婚を考えているという相談を社内人事部が受けたのがきっかけ。昨年全米で同性婚が憲法上の権利として認められるなど世界的潮流や、同社が公式スポンサーを務めるオリンピックでは憲章に性的指向の差別を認めない項目があるなど、さまざまな状況をかんがみた結果、今回の発表に至りました。
具体的に検討しているのは、社内の行動基準に「性的指向について差別的言動を行わない」旨を明記すること。性的指向とは、恋愛や性愛の対象が異性や同性、または両性いずれに向かうのかを示す概念です。パナソニックはもともと社内の行動基準第3章に「会社は、基本的人権を尊重するとともに、差別的取り扱いを行わず、雇用における機会均等に努めます。私たちは、性別、年令、国籍、人種、民族、信条、宗教、社会的身分、障害等に関する差別的言動を行いません」と掲げており、これに性的指向を加える方針となります。
行動基準の対象は国内外のパナソニックのグループ企業すべて(社員25万人)。もし「性的指向」が明記されると、日本のパナソニック企業では社内の人事制度を、同性カップルも法律婚と同等の福利厚生を受けられるよう改変していくことになります。
行動基準の見直し時期は毎年4月ですが、社内手続きや上層部からの承認、組合との協議などが残っているため、まだ検討段階にあるそうです。
日本では昨年2月から東京都渋谷区が、7月から世田谷区が、同性カップルを「結婚に相当する関係」と認める公的書類を発行。同性カップルにも法律婚と変わらぬ権利を認めようとする流れが広がっています。パナソニックという日本生まれの大企業が同性婚を受け入れる社内制度を検討し始めたことは、ほかの国内企業も賛同するなど大きな影響が考えられ、今後も実際に制度が改変されるか注目が集まりそうです。
(黒木貴啓)
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