レトロな大食堂と巨大ソフトクリームが名物だった、岩手県花巻市の老舗デパート「マルカン百貨店」が、6月7日に閉店することが分かりました。
現在の建物は1973年から営業。2015年夏に行った耐震診断の結果、建物の老朽化が著しく補修や建て替えも困難なことから、安全性を優先させて店舗の閉鎖を決めたということです。
400席以上ある6階の大食堂は、昭和の面影を残すインテリアに和洋中・スイーツととにかく豊富なメニューがそろい、価格もリーズナブルなことから市民の憩いの場としても親しまれました。そのマルカン食堂の定番メニューが、至ってオーソドックスなしょうゆ味の中華そばと、高さ25センチの特大ソフトクリーム。ソフトはその大きさから割り箸で食べるのがマルカン流とされ、テレビや雑誌などで何度も取り上げられました。
閉店が報道されて以降、Twitterではその味と雰囲気を懐かしみ、営業終了を惜しむ投稿が相次いでいます。特大ソフトと並ぶ名物、ナポリタンとカツがまとめて楽しめるその名も「ナポリカツ」や、“懐かしい方の”メイド服のウエイトレスさん、そしてメニューの数だけある壁一面の食品サンプルが消えてしまうのは本当に惜しいですね。
関係者によると閉店の報道以降、来店者がさらに増えたことで「いつもより待ち時間が長くなっており、お客さまには本当に申し訳ない気持ちで一杯。そんな中でもスタッフをねぎらう声も多くいただいており、地域の皆さまに支えられてきたことをあらためて実感しています」とのこと。
実は、花巻市民や自分のような現地出身者にとって、「マルカン閉店」のうわさは風物詩のようなもの。これまでも度々ささやかれてきましたが、今回は残念ながら本当のことになってしまいました。
気になる今後ですが、現在の建物は当面取り壊さないものの、跡地の利用についてはまったくの未定。マルカングループは花巻市内を中心に圏内で複数のスーパーやレジャー施設、書店を運営していますが、マルカン百貨店と大食堂の移設は予定にないそうです。
百貨店の営業継続や大食堂移設の要望も多く寄せられているそうですが、取材に応じた関係者は「この場所とこの建物、この雰囲気だからこそ続けられてきたマルカン食堂だと思っています。6月7日をもって一区切りとさせてください」と、営業終了の思いを明かしてくれました。
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