美少女VRゲームや対戦相手になってくれるアンドロイド 未来のゲーム事情を描くSF小説がカクヨムに登場
「22世紀のレトロゲームレビューサイト」の体裁で、架空のゲームを評価する。
@Alamogordoさん作の小説「The video game with no name」が、小説投稿サイト「カクヨム」で注目を集めています。「2115年に開設されたレトロゲームレビューサイト」というユニークな体裁で、未来のゲーム事情を描くSF短編です。
レトロゲームレビューと言っても、22世紀の視点によるもの。取り上げられているのは現実の我々からすると、架空の未来のゲームです。例えば、第1回の題材「キミにキュン!人工ヒメゴコロ」は、2022年発売のVR美少女ゲーム。VRが既に陳腐化している未来の視点から、ある問題点から失敗してしまった作品を紹介しています。
作者の想像力と巧みな文章構成により、「もしVRの美少女ゲームが発売されたらどのような事象が発生するか」をリアルに表現。VRマシンの先駆けであるバーチャルボーイへの言及や、「人工ヒメゴコロ」体験会の異様さがTwitterで拡散される描写が、リアリティを高めています。
第2回の題材「Acacia(アカシア)」はゲームではなく、2073年に発売された「対戦相手になってくれる」アンドロイド。「対戦ゲームは一緒に遊んでくれる友人が必要」という問題は半世紀後も存在するらしく、その解消のために開発されています。
Acaciaは、ゲームを遊ぶのに必要な最低限の機構を備えており、マニピュレーターでゲームパッドを手に取りプレイ。AIがゲームのルールを学習し、みるみるうちに上達していきます。外見はサイバーかつゴスロリ風味の美少女で、性格には「ちょっと勝ち気な妹」設定をトッピング。内向的なゲーマーから支持を受けますが、さまざまな問題を引き起こして衰退してしまいます。
実在のゲームを歴史的事実として織り込んだり、架空のゲームがSNSでバズったりと、現在の我々が知る事象とクロスオーバーする構成が巧み。文章も軽妙でサクサク読めます。「The video game with no name」は短編連載形式で、現在は紹介した2編が公開中。次の題材は未来のソーシャルゲームか、はたまたeスポーツか? 新作の公開が待たれます。
(沓澤真二)
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