「シェンムー」のような作品は当時“タブー”だった―― 鈴木裕氏、「誰にも理解してもらえなかった」と開発の苦労明かす
本日発売の「別冊少年マガジン」で、鈴木裕氏が「シェンムー」開発や当時のゲーム業界について振り返っています。
「バーチャファイター」や「スペースハリアー」「シェンムー」など数々の名作を生み出し、現在は最新作「シェンムー3」を開発中の鈴木裕氏。そんな鈴木氏が「シェンムー」シリーズについて、当時は「誰にも理解してもらえなかった」と別冊少年マガジンのインタビューに答えています。
「シェンムー」シリーズは自分にとって「自然なことを積み重ねて、作品としてカタチにした」ものだったと鈴木氏。例えば当時のゲームでは“キャラクター同士が会話する時はお互い真正面に立たなければいけない”“キャラクターが壁にぶつかっても、立ち止まったまま足踏みを繰り返す”といった“不自然”が常識になっており、鈴木氏が「現実の世界だったら、僕が正面ではなく真横に立っていても、ちゃんと話は出来るでしょう?」と説明しても、誰も賛同してくれなかったそう。今でも海外メディアから「『シェンムー』でやり残したことは?」と聞かれると、決まって「ラーメンが伸びなかったんだよ」と答えているとか。
一方で、鈴木氏が「シェンムー」で目指した“なんでもできる”という方向性は、当時のゲーム業界では一種のタブーだったとも。「当時は、ビデオゲーム開発者にとって“プレイヤーが何でもできる作品を作る”ことは、“何もできない作品になる”とも言えて、タブーの領域だったんです」(鈴木氏)。その後「シェンムー」の存在は「グランド・セフト・オート」など海外の作品に強い影響を与えますが、日本で「シェンムー」タイプの作品が生まれなかった背景には、そうした意識の違いもあったと鈴木氏は指摘しています。
鈴木氏の最新作「シェンムー3」は昨年、Kickstarterではビデオゲーム史上最高調達額となる633万ドル(約7億8500万円)を集め(関連記事)、現在リリースに向けて開発中。インタビューでは「『シェンムー 一章 横須賀』と『シェンムーII』とはコンセプトを変えたんですよ」と語るなど、「シェンムー3」についても興味深い発言が飛び出しています。
ちなみにインタビューの聞き手は「MMR マガジンミステリー調査班」のイケダ隊員ことイケダ記者。かつてはゲームライター“響あきら”として活動するなど、ゲームにも深く精通していたことで知られるイケダ記者ですが(関連記事)、その昔、鈴木氏から「シェンムー」の前身にあたる「バーチャファイターRPG」のディレクターに誘われたこともあったとか……。
5ページにわたる鈴木氏のロングインタビュー「ゲームレジェンドに聞く!」は、本日(5月9日)発売の別冊少年マガジン6月号に掲載中です。
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