日本では関東甲信地方の梅雨入りが発表されましたが(関連記事)、先週末から大雨が続く欧州、特に、フランスでは被害が相次いでいます。
同国でのこれまでの最高水位は6.1メートル(6月4日2時時点)。セーヌ川が危険水位まで上昇した1982年の6.15メートルを超えることはありませんでした。洪水警報は発令されていますが、フランスで災害宣言が出るのは7.1メートル以上のため、今のところほとんどのパリ市民は通常通りの生活を送っています。パリ市内西側やセーヌ川上方では住宅の浸水被害なども発生しています。
フランスでは1910年に記録的な大洪水が発生しており、そのときの最高水位は8.62メートル。このため、今回はそれほど深刻な状態ではないとする楽観的な意見もあります。しかし、現地の日曜午後からはまた雷雨が予報されており、来週前半まで雨の予報は続くため、さらに被害が拡大するのではと警戒する向きもあります。
また、パリでは現在、労働基準法改正に反対するストライキにより、近郊列車RERなどの運行が1部ストップ。そこへ洪水被害による運休や一部の駅閉鎖が重なり、郊外に住む人にとっては深刻な状態に。RER C線は3日から運休が続いています。
ルーブル美術館とオルセー美術館は、地下にある美術品を避難させるために7日までの閉館を決定済みです。浸水を懸念したもので、美術品が被害に遭っているわけではありません。
パリ市長はTwitterで、「セーヌ川は美しいですが警戒してください。不要な危険を避けるため、土手には行かないように」と市民に訴えかけています。
10日にはサッカーの欧州選手権「UEFA EURO 2016」開幕戦を控えるフランス。今回の洪水とストライキに加え、テロへの警戒も最大まで引き上げなくてはいけないということで、緊張が走っています。あまりにトラブルが続いているせいか、パリ市民はいつもより冷静で落ち着いている印象もありますが、一刻も早い解決が望まれます。
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