いつの世も人は不倫にドハマリする 一途ストーカー女子が恋の泥沼に沈むSF「あげくの果てのカノン」:ねとらぼレビュー(1/2 ページ)
一途女子×不倫×SFってどんな新しいタイプの地獄だよ!?
いつの世も不倫の恋は盛り上がるもの。それは世界が危機的な状況になっていたとしても変わりません。月刊!スピリッツ(小学館)連載中の米代恭「あげくの果てのカノン」は、一途(にストーカーをする)女子がズブズブと恋の泥沼にハマっていくお話です。
主人公は23歳の女子・高月かのん。彼女が小学生だった時、世界にゼリー状のエイリアンが襲来。地上の都市機能は深刻なダメージを負い、危険な上に毎日のように雨が降る地上で暮らす「地上民」と、地下に生活の場を移した「地下民」とに分かれるようになりました。
かのんは地上に住み、地上民向けの喫茶店でアルバイト中。そんな彼女には大大大好きな人がいます。それは、高校時代から数えて8年間ずっと片思いしていた境宗介先輩。
かのんの高校時代は先輩一色。毎日先輩への想いを日記につづり、先輩の写真を隠し撮りしまくり、先輩が使った箸袋をこっそり回収し、先輩の彼女をまとめた「彼女アルバム」を作り……と、純情が行き過ぎて完全にストーカー状態。
先輩の良さを語り出したら(漫画のコマで換算すると)丸々1ページ分にわたるほど。「腐女子に自分の好きなキャラについての萌えを語らせると長い」というのは世の中の真理ですが、かのんの場合は腐ってないけど腐っている。先輩がかのんにとっての推しジャンルなのです。
しかしどんなにTO(トップオタ)的に好きだったとしても、恋が叶うわけではありません。高校を卒業する境先輩に勇気を振り絞って告白したかのんは、「付き合っている人がいる」とフラれてしまいました。
境先輩は高校卒業後、世界を守る「異星生物対策委員会(SLC)」の養成機関に入学。トップの成績で卒業し、最前線でエイリアンと戦うヒーローに! 振られてもなお先輩が好きで好きでしょうがないかのんは、ファンとして先輩の活躍を見守り、雑誌や新聞の切り抜きを収集することしかできない日々でした。
ところがある日、かのんのバイト先に先輩が偶然訪れ、2人は再会。しかも久しぶりに会った先輩はちょっぴり「軽い」人になっていて、かのんになぜかちょっかいを出してきます……。激しく恋心を刺激されて混乱するかのん。
「この人を好きでいたら不幸になる。わかっているのに、どうしようもなくずっと好き」
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