手話って自由! ウサイン・ボルトの手話表現が「あのポーズ」で思わず納得 NHK「ロンドン五輪前から使っています」
手話にはあだ名のような「サインネーム」というものが。実はEXILEもあのダンスで表現!
8月15日(日本時間)にリオ五輪・陸上男子100メートルで金メダルを獲得し、五輪史上初の同種目3連覇を成し遂げたウサイン・ボルト選手。NHK Eテレの番組「手話ニュース845」もこの偉業を手話で報じたのですが、ニュースキャスターがボルト選手の名前を、あの「ライトニング・ボルト」ポーズをとって表現したことがTwitterで注目を集めています。
通常、手話で人名を伝えるときは「ウ」「サ」「イ」「ン」……と一文字ずつ指で表現します。しかし番組に出演した木村晴美キャスターは、ボルト選手の象徴とも言える、天に向かって弓を引くように両人差し指を突き立てる「ライトニング・ボルト」ポーズをとってボルト選手をあらわしました。
Twitterではまさかの表現に「ボルトって手話の単語があるの! すげえな」「分かりやすい!」と感心や驚きの声が続出します。「ガトリンはこじ開けポーズなのかな」「体操の白井健三なら後方伸身宙返り4回転ひねりとか期待しちゃうよねw」とほかのサインへ興味が広がる人や、報道番組にしてははっちゃけたポーズに「じわじわくる」「心なしか話者さんも楽しそう」とほっこりする人も。
実は同番組がボルト選手にこのポーズを当てたのは初めてではありません。2012年ロンドン夏季大会のときも同じく木村キャスターが使ったほか、同年にボルト選手が来日したときのニュースでも別のキャスターがポーズをとっていました。
NHK広報部に取材したところ、番組で同ポーズを用い始めたのは2012年ロンドン夏季大会の前から。2009年世界選手権男子100メートルでボルト選手が人類初の9秒5台を記録したあたりから、一般のろう者の間でボルト選手を例のポーズで表現する機会が増えていったそうです。これにならい、ボルト選手だと一発で分かりやすく捉えてもらえる手話だとして番組でも使うようになりました。
番組で著名人を特別なサインで表現する例はほかにも。ダフ屋のチケット問題を報じた際は、音楽グループ「EXILE」を、代表曲「Choo Choo TRAIN」で知られる上半身をぐるぐる回すダンスであらわしたそうです。また野球のイチロー選手は、打つ前に投手にバットを向けるあの構えをとって表現するとのこと。手話って自由で、楽しい……!
このようにろう者の間では、人の見た目や性格、特徴から特定の“手話のあだ名”を作ることが多く、これを「サインネーム」と言います。ちなみに発展途上国や日本の手話の言語学研究をしている森壮也さんのTwitter(@SL_at_IDE)によると、ジャマイカの手話界でもボルト選手に対して日本と同じようなサインネームが使われているそう。手話の世界の広さを教えてくれる、「ライトニング・ボルト」ポーズでした。
(黒木貴啓)
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