先日、とんでもなく安い飲み屋があると、8月9日にグランドオープンした東京都秋葉原の肉バル「BEEF KITCHEN STAND」がネット上で話題になりました。フードメニューのほとんどが100円台というお財布に過保護な価格設定です。お得なことはいいことだ! ……というわけで、早速足を運んでみました。
場所は、JR秋葉原駅昭和通り口から徒歩1分。やや狭い通りに入ったところにあるアパホテル秋葉原店1Fです。駅近なので、初来店でも迷わないのではないでしょうか。もし分からなかったら、取りあえずアパホテルの看板を探すのがおすすめ。「BEEF KITCHEN STAND」はその下あたりにあります。
赤を基調とした内装で、店舗正面は広いガラス窓。どことなく喫茶店風の店構えにも見えます。筆者はてっきり大衆的な安居酒屋だと思い込んでおり、「こんなオシャレな店であるわけがない」と通り過ぎそうになりました。店内には4〜5人掛けのテーブル席が2つずつあり、カウンター席が20以上。テラス席も幾つか用意されています。
メニューを見ると、揚げ物やサラダをはじめとした定番メニューが100円台でズラリ。マリネやポテトサラダは自販機の缶ジュースより安い110円で、かき、牛もつなどを使った各種アヒージョは199円で注文できます。見てるだけで、ちょっとドキドキする価格帯。こんなに安くていいのかしら。
アルコールはおおむね300〜400円台で、もっともお手頃なのは250円のトリスハイボール。一般的な飲み屋とあまり価格の変わらないものもありますが、その気になれば“せんべろ(1000円でべろべろに酔うこと)”できそうです。
カウンター席に着き、マカロニサラダ、生ハムサラミ盛り、かきのアヒージョ、バケット、ポトフ、それからトリスハイボールを注文したら、卓上いっぱいにお皿が並びました。これだけ頼んでも、合計金額はたったの988円。どこから手をつけようか迷いながら、ひとまず家庭的で優しい味わいのマカロニサラダをつまんで、グビッと至福の一時。
こんがり焼けザクザクした食感のバケットをアヒージョと一緒に食べると、口の中いっぱいにかきの風味が広がります。舌鼓を打ちつつ、ポトフに手を伸ばすと野菜がよく煮込まれていて、ホクホクしたじゃがいもがたっぷり入っていました。定食屋よりちょっと高いくらいの金額なのに、ぜいたくしてる気分。
店主になぜこんなに安いのか伺ったところ、これは「とにかく安い店」を追求したわけではなく、「1人でも4〜5品注文できる店」を目指した結果だそう。確かに、1人で飲みに行くと「大皿で食べ物が出てきて、1〜2品しか食べられない」という問題がよく起こるもの。それなら「最初から取り分けたくらいの量で出せばいいじゃないか」というわけです。
そのため、フードはいずれも少量低価格。単品でお腹が満たされるわけではありませんが、いろいろなメニューを味わえ、かなり満足感があります。
ネット上では驚くほどの安さで注目が集まりましたが、「BEEF KITCHEN STAND」が売りとしているのは肉料理。ビーフステーキは50グラム、ハンバーグは60グラムと量は控えめです。しかし、歯ごたえがあり、The 肉と言ってもよさそうなワイルドな風味で、胃袋にガツンと入ってきます。肉の仕入れに強みがあるとのことで、希少部位である牛ハツのレアローストも提供しています。
これらの肉料理は1品290円。お手頃価格で食事にも利用できそうですが、店主いわく「飲み屋なので、ウーロン茶でもいいからワンドリンクは注文するのがルール」だそう。その代わり、お通し代はかかりません。
ドリンクは、肉に合う炭酸系のアルコールに特に力を入れているそう。シュワシュワ感の強い超炭酸チューハイはあっさりした味で、とにかく低価格で済ませたい方には申し訳ないのですが、肉を入れるとグイグイ飲みたくなります。
また、メニューには載っていないのですが、お店でフルーツを漬けて作っているレモンとライムのスプリッツァーもさっぱりした味わい。筆者は炭酸割りを注文しましたが、ジンジャエールやロックで飲むこともできます。りんごやラズベリー、パイナップルを使ったものもあり、甘い果実酒が好きな方にもおすすめ。
最後に裏メニューをご紹介。199円でライスを提供しているのですが、同じ値段で「かけライス」が頼めます。これは一号店が造船業の盛んな横浜市にあり、ガタイがよく、たくさん食べるお客さんが多いことから考案されたもの。コリコリした食感の牛すじやこんにゃく、大根などが入った「人気の煮込み」をライスに少しかけてもらえます。
とにかくモリモリ食べたい男性向けのような印象ですが、つゆだくの牛丼のような感覚でササッとかきこめ、シメの一杯にはもってこい!
営業時間は午後4時から、日付をまわって午前1時まで。グランドオープンからまた1カ月たっていないのですが、行きやすい価格帯であることもあり、付近で働いている人などがよく使っているそう。また、メニューが書かれた看板を見て入ってくる友達連れのお客さんも多く見かけました。1人飲みにうれしいメニュー構成のお店ですが、秋葉原で友達と遊んでいるときにも立ち寄れそうです。
(マッハ・キショ松)
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