途中何度も、「なんでこの仕事受けちゃったんだろう」と思いました……。(筆者談)
夏も終わり、という8月某日。編集部から「編集部の予定がみんな埋まっちゃってまして」という理由で「心霊タクシー」の取材の依頼が筆者の元に来ました。なんなんだ、みんな埋まってるって。幽霊の仕業か?
心霊タクシーとはタクシー会社「三和交通」が企画する、心霊スポット巡礼をタクシーで行うツアーのことです。企画するたびに大好評で今年は全コース合わせて70組の当選に対し、なんと816組もの応募があったようです!
コースは横浜(恐怖度“HARD”のショートコース/“NIGHTMARE”のロングコースの2種類)と多魔(恐怖度“NIGHTMARE”のショートコース/“INFERNO”のロングコースの2種類)から選択可能。それとはほかに、都内の怪談の舞台となった歴史・文化的名所を回る比較的ライトな「東京 怪談名所ツアー」(恐怖度“EASY”の昼コース/“NORMAL”の夜コース)もあるそうです。あのう……私そっちがいいなあ……ダメですか……。
ハイ。ダメですよね。そうこうしているうちに心霊タクシーが配車されました。今回は広報担当の瀧口さんが自ら案内してくださる、横浜”NIGHTMARE”です。滝口さんは霊感がある他のドライバーから「守護霊が強力だから、瀧口さんと一緒なら変なことはきっと起こらない」と太鼓判を押されているそうなんですが果たして……。
まず車内で誓約書を書かされました。「何か起こっても、現象に対して三和交通は責任を負いません」とかそんな内容です。霊障に対するクレームは今のところないそうです。それでも怖がる筆者に対し、「何かあれば心霊研究家の方をご紹介することはできます」とのことでした。うう、その必要が生まれないことを祈る。
まず向かったのは築城者もはっきりせず、いつできたかもいまいちはっきりしない謎多き城跡(しろあと)。そこには、恨みつらみを抱いて死んでいった武士の霊が多く存在しているといわれているそうです。と、ここで予告なしに車の窓を開ける瀧口さん。やめて! そういうのすごいやめて〜!!
その後、コースにない某大学近くの女子学生が殺されたという道を通過するのですが、ここを通っているとき同行者の友人の口数が少なかったことが気になり後で聞いてみると、「あそこを通ってる間、こめかみがずっと痛くて」と告げられて心から「もう帰りたい」と思いました。
斎場に続く某トンネルを通ります。できたばかりのキレイなトンネルだし明るいんだけど……こちらは斎場に行くときしか使われないトンネルなんだそうです。「深夜に斎場まで乗せてくれという不可思議な客」に遭遇した話が1度や2度ではなく、ドライバーも通りたがらない場所なんだそう……。通っちゃってるよ……。
斎場周辺の白装束の老婆が目撃される旧墓場や、名前のない慰霊碑などを見学し、交通事故多発の峠へ向かいます。ここでは真っ暗な中をタクシーを降りて歩きます。え、歩くの?
あー歩きたくない……。霊感がある人だとバイクの音を聞いたり、声をかけられたりすることがあるそうです。ここには、事故死者のために建てられた供養碑が峠のどこかにあるらしいんですが……やだ、瀧口さんそんながさがさして大丈夫ですか? 瀧口さんはここにあったという供養碑跡を探していました。心の中で供養碑に手を合わせつつ、足早に進みますが……。
ここでカメラが不調になった! このタイミング、本当やめてえええ! しかも道を抜けた先でなぜか置いてきたはずのタクシーがワープしていてなんのイリュージョンやこれ。帰りたい。
既に結構疲弊しているのですが途中にトイレ休憩をはさみます。やった! これで今後恐怖でちびらないですむ! コンビニの明かりや車といった文明の恩恵にこの日どれほど感謝したことか。文明、素晴らしい……! トイレ休憩が心霊スポット的なトイレだったらどうしようというのが友人との懸念事項だったんですよねーと話す私に「はじめはそれも考えたんですけどね」とニヤリと笑う瀧口さん。本当にやめてくれ……!
次が自分たちの間での最恐スポットすぎて本当は思い出したくない、写真もできるなら見返したくないんですが……「人里離れた某池」です。昔水死者がでたというその池は柵で覆われていました。
真っ暗だし、地元の人たちも決して夜には寄り付かないというこちらで車を降りて先の方まで行ったところ、3人のうち友人だけが「男性っぽい、枝を踏みしめるような足音」を聞き、その後恐怖で早足で車まで戻りました。「え……本当に足音聞かなかった?」と何度も言われたが聞いてないもんは聞いていない! 「動物だよ」と言い聞かせようとする筆者に対し、「他に草の音、全く聞こえなかった……」と確信を強める友人。怖すぎるううう!
恐怖体験で頭の中は「もう帰りたい」としか無かったけど次は「封鎖されたガード下」へ……こちらは事故が多発したことで封鎖されているのを特別に入らせてくださってるそうです。特別とかいいからもう本当に帰りたい(本音)。
「去年はいろいろ悪いものが集まってたそうなんですけど今年はそうでもないですねー」と話す瀧口さんに「集まってなくてありがとう」と感謝する私。知ってましたか? 人は強い恐怖を感じるとすべての事柄に感謝の気持ちを感じるようになるんですよ?
その後「2〜3階に人影が浮かぶ」という廃業理由が謎な廃ホテルへ。これ、後で知ったんですけどここコースに無いじゃないですかーーーー! やだーーーーー!
持ち前のサービス精神からかコースにないポイントにもたくさん連れて行ってくれたんですけど……本当に三和交通さんはステキなタクシー会社ですよ(むせび泣きながら)。ちなみに筆者自身が幽霊っぽい白いワンピース風を着ているのには理由があり、幽霊が敵じゃないと思ってそっとしてくれるんじゃないかと思い着てきました。
さて、3時間に及ぶロングドライブも佳境を迎えます。瀧口さんから「コースの修了証書をとある工場の2階に昼間のうちに設置しておいたんで自分たちで取りに行ってください」という衝撃のひと言が。もうやだよーーーー怖がり疲れたよーーーーー! そしてそこで私たちが体験したものとは。
心霊タクシーは来年も企画されているということで、ここでの体験はぜひ自分自身で体験して頂きたいと思います。いやー、すっごく怖かったんですけどこの体験のおかげで笑って帰れる感。
終始ビビっておりましたがガチ怖がりでもなんとか最後まで完走できましたー! 怖かったー! 恐怖っていうのは人の印象にすごく残るらしく、体験のひとつひとつ、ものすごく鮮明に残っているんですよね……夏の思い出にぴったりです。
「心霊スポット巡礼ツアー」は運転できるドライバーさんも限られており、コースに使う車両も特定のものを使用、社内でも詳細を知っている人はわずかしかいないという秘密が徹底的に守られているということです。ちなみに、ツアーに使用された車両は全ツアー終了後におはらいをするそうです。
来年開催時にはまたコースが変わる上に、担当するドライバーによっても話や内容が変わるそうなので何度でも楽しめそうな感じです。ガチ怖がり的には今回担当してくれた広報の瀧口さんを強くおすすめしたい! 来年の開催時には、この作られたものでは味わえないガチの恐怖を体験してみてはいかがでしょうか。
(ちぷたそ)
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お分かりいただけただろうか。