将棋棋士・三浦弘行九段の“スマホ不正疑惑”に関連して、渡辺明竜王が11月1日にブログを更新。今回の騒動について初めてネット上に意見を公開した。
ブログによると、渡辺竜王は10月上旬、三浦九段に対局中の行動や棋譜の観点から疑問が生じていた件について「報道が出る可能性が高い」ことを把握。竜王戦の開幕前に三浦九段に話を聞く必要があると考え、常務会に状況を報告したという。「将棋連盟にとって最悪の展開は後に隠していたと言われること」(渡辺竜王)。
そして、常務会が三浦九段を呼んだ時点で「自分の行動意図は達成している」として、以降の決定に自身の意思が反映されていないことを説明。2日付のエントリーでは、「自分ではブレてないつもりでも、言葉があちこち飛び交ったのは自分の責任です。急所を自分のブログで書くのを怖れてメディア任せにしたのもいけなかった」と自らの行動を反省しつつ、週刊文春に掲載された記事内容は「おおむね間違っていないように思う」とコメントしている。
スマホ不正疑惑とは
トップ棋士の三浦弘行九段が対局中にスマートフォンを使って将棋ソフトを不正利用した疑いがもたれているもの。この影響で三浦九段は今年獲得していた竜王戦(名人戦と並ぶ最高峰のタイトル)の挑戦権を剥奪された。
本人は全面的に否定しており、弁護士を通じた反論文書を2回公開。その中で調査会社等によるデバイスの解析や、処分の撤回を求めている。将棋連盟は10月27日に第三者調査委員会を設置した。
これまで公式から一般ファンに向けた状況説明はほぼなく、各メディアや関係者のSNSによる断片的な情報発信により混迷を極める事態となっている。
主な出来事
10月12日
将棋連盟:三浦九段の処分を発表。竜王戦の挑戦者は丸山忠久九段に変更。理由については「休場届の不提出」と説明
10月13日
将棋連盟:記者会見で「追加調査を行わない」とコメント
橋本崇載八段:疑惑について「1億%クロ」とTwitterに投稿(現在は削除)
10月18日
三浦九段:反論文書1を発表。
NHK:三浦九段の単独インタビューを実施。三浦九段が「辞退の申し出」を否定したこと、連盟が「調査の継続」を決めたことを公表
10月19日
週刊文春:Webに渡辺竜王のインタビューを掲載
10月20日
週刊文春:特集(全4P)を掲載
週刊新潮:特集(全4P)を掲載
羽生善治三冠:「疑わしきは罰せずが大原則」と妻のTwitterで意見表明
橋本崇載八段:「ありがとうセンテンススプリング」とTwitterに投稿
10月21日
三浦九段:反論文書2を公開
将棋連盟:棋士に対して説明会を実施
スポーツ報知:丸山九段のコメント「連盟の対応は疑問だらけ」を掲載
産経新聞:渡辺竜王が「疑念がある棋士と指すつもりはない。タイトルを剥奪されても構わない」と連盟幹部に対応を求めていたことを発表
10月22日
渡辺正和五段:渡辺竜王の対応をTwitterで批判
渡辺竜王:ブログ更新「ここでは多くを語れない」
10月27日
将棋連盟:第三者調査委員会を設置
伊藤雅浩弁護士:連盟の対応について「疑いをかけられたことを以って処罰する嫌疑刑と同じ」とブログで批判
10月28日
渡辺正和五段:「渡辺竜王が島常務を脅して三浦九段を失格にするように動いた」とTwitterに投稿
10月29日
渡辺正和五段のTwitterアカウントが削除される
10月31日
橋本崇載八段:「私が三浦弘行九段の不正を断定した。という事実はありません」とTwitterで釈明
将棋連盟:月例報告会を開催
スポーツ報知:渡辺竜王の取材記事を掲載
11月1日
渡辺竜王:報道では真意が伝わらないとしてブログで直接説明。
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