29年前のバックアップ電池が生きていた! 「ドラクエIII」会心のセーブデータが生存確認
データの中身は、全戦闘を回避しつつ「まほうのかぎ」と「さとりのしょ」を手に入れた努力の結晶。
ファミコン時代のゲームでは、セーブデータをカセット内蔵の電池で保存する「バッテリーバックアップ」方式が多く採用されていました。今のゲームと違って「電池が切れるとセーブデータが消える」という欠点はあったものの、長ったらしい「ふっかつのじゅもん」をメモしなくても途中経過をセーブできるのは画期的でした。
エニックスから1988年に発売された「ドラゴンクエストIII」もバッテリーバックアップ式を採用していたゲームの1つ。残念ながら、今でもバックアップ用電池が生きているカセットはほとんどありませんが、そんな中、昔の「超やり込みデータ」が今も生き残っていたとの報告が注目を集めています。29年前のバックアップ用電池がまだ生きているなんてマジ奇跡的……!
投稿者の刑部長門守伊月さん(@bluetwintail)がスイッチを入れると、懐かしいシンプルなタイトルに続いて、「ぼうけんのしょ(セーブデータ)」の選択画面に。「ぼうけんをする」を選ぶと、確かにデータが無事消えずに残っていることが確認されました。刑部長門守伊月さんにとっては、この「セーブ電池が切れてないか確かめる儀式」は毎年1月の恒例行事なのだそうです。
残っていたデータもタダモノではなく、再開されたゲームに表示されたのは、パーティ全員がレベル1のステータス画面。なんと全戦闘から逃げ続ける縛りプレイに挑み、経験値ゼロのままで「まほうのかぎ」と「さとりのしょ」を手に入れたそうです。まほうのカギはピラミッド、さとりのしょはガルナの塔(ダーマ神殿の北)でそれぞれ手に入りますが、どちらも本来ならば、とてもレベル1で行けるような場所ではありません。考えただけでも気が遠くなる……。
「ただレベルを上げてみんなと同じストーリーを見てクリアするという、時間を費やしても同じものしか得られないプレイスタイルには昔から納得していなかった」と語る投稿者に、編集部はさらに詳しく話を聞いてみました。まずゲームは発売年に購入したもので、内蔵電池も正真正銘発売当時のものだそうです。
縛りプレイを始めたのは1997年のこと。防具と種(ステータス上昇アイテム)で勇者を強化し、生き延びることを祈りつつ逃げまくったそうです。特にピラミッド攻略には苦戦し、上階へ上がれることすらまれだったのだとか。大変なプレイは長年続き、4年越しでやっとまほうのかぎを入手。さとりのしょの入手はその後約1年間で達成できたとのこと。
こうして2002年ごろには、無戦闘で進めるほぼ限界まで到達していた刑部長門守伊月さん(これ以上は中ボスのカンダタを倒さないと進めない)。その後同作の起動頻度は下がりましたが、通学のため実家を離れた時期から、帰省時にデータの無事を確かめるように。以来、確認は新年行事のように定例化され、現在も毎年行っているそうです。
「同じような失敗を何度も繰り返すことになるので、途中経過をネットで配信できる現代では、逆に実行できなかった」と語る刑部長門守伊月さん。最後に「普通の勇者のように強くなくても、ここまでできるという希望になれば幸いです」とコメントしています。2018年の正月も、またデータが無事であることが願われます。
(沓澤真二)
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当時の説明書には、読んだだけでプレイした気になる魅力がありました。