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「はちま起稿」買収問題、DMM社員はどう見たか 「正直、気分は良くない」「色々な意味で倫理にもとる行為」

2人の情報提供者に詳しく話を聞きました。

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 DMM.comが昨年12月28日、まとめサイト「はちま起稿」を所有・運営していたことを発表し、ネット上に衝撃が走りました(関連記事)。編集部では12月上旬ごろからDMM.comにこの件で問い合わせを行っていましたが、発覚の決め手になったのは、DMM.comおよびDMM.comラボ関係者からの複数の情報提供でした。

 情報提供者の1人、Aさん(仮名)は、一連の買収騒動について「正直、気分は良くないです。色々な意味で倫理にもとる行為」と語りました。はちま起稿を買収していたことについては、特に社内向けに発表はなかったものの、社内Wikiなどで関連資料はいつでも閲覧できる状態になっており、把握していた社員はかなり多かったようです。

 今回の件について、社内ではどのように感じていたのか。また、DMM.comはどこまでサイト運営に関わっていたのか。編集部では2人の情報提供者に詳しく話を聞きました。


「はちま起稿」買収問題、DMM社員はどう見たか まとめサイト「はちま起稿」。もともとは管理人・清水鉄平氏の個人ブログとしてスタートし、やがて2ちゃんねるまとめに転向したことで一躍人気まとめサイトの筆頭に。しかし2012年に2ちゃんねるから「書き込み転載禁止」の処置を受け、現在は2ちゃんねる以外からの転載を中心とした「キュレーションサイト」に


社内でも多数の社員から強い反発――Aさん(仮名)の場合

―― 発表後、社内では何か目立った変化はありましたか。

Aさん 割と普通です。ただ多数の社員から強い反発があり、経営会議でも話題にのぼっていたようです。

―― DMM.comはどの程度運営に関わっていたのでしょうか。

Aさん 記事の更新などに関わっていたかどうかは分かりません。ただ、アプリの開発やサーバ移転などはDMM.comラボ社内のチームがサポートしていました。


「はちま起稿」買収問題、DMM社員はどう見たか DMM.comラボが開発したとされるスマートフォン用アプリ「はちまApp」

―― チームの規模はどれくらいですか。

Aさん 10人いないくらいだと思います。座席は清水(鉄平)氏の席とは離れた場所にありました。

―― 買収について知ったのはいつごろですか。

Aさん 2016年に入ってしばらくしてからだったと思います。開発メンバー内ではかなり周知されていて、DMM.comラボ社内でもほとんどの人は把握していたと思います。

―― 社内向けにアナウンスなどはありましたか。

Aさん 「買収しました」のような大々的な発表はなかったです。ただ、記録は残っていて、誰でも見ることができました。社内に対しては、特に隠しているような様子はなかったです。

―― 社内で清水氏を見たことはありましたか。

Aさん 自分は見たことはなかったです。ずっと社内にいたわけではなく、会議や打ち合わせがある時だけ出社していたんだと思います。開発メンバーもあまり接点はなかったのではないでしょうか。

―― 清水氏は現在は「元管理人」ということになっていますが、どの程度サイト運営に関わっていたのでしょう。

Aさん はちま起稿内でどういった立場にあったのかは分かりませんが、彼への確認なく話が進められない程度には、中心的な存在であったようです。

―― 自社がはちま起稿を買収していたことについて、Aさんはどのように感じましたか。

Aさん 正直、気分は良くないです。色々な意味で倫理にもとる行為だと思います。社内でも当初から懸念の声はあったようです。あのサイトがどれほどのことをしでかしているのか、会長をはじめとする関係者は知らなかったのだと思いたいです。


「はちま起稿」買収問題、DMM社員はどう見たか チームの座席は清水鉄平氏の席とは別の場所にあったとのこと(座席表は編集部が独自に入手/画像加工は編集部によるもの)


社内では「大丈夫かな」と心配する声も――Bさん(仮名)の場合

―― Bさんがはちま起稿買収について知ったのはいつごろでしたか。

Bさん 6月くらいにはなんとなく把握していましたが、詳しく知ったのは今回話題になってからです。12月上旬ごろに山本一郎さんがツイートしていたのを見て、あらためて社内Wikiなどを漁ったらいろいろ出てきたという感じです。



―― 社内Wikiにはちま起稿関連の項目があったということですか。

Bさん Wikiというよりは資料置き場のようなイメージですね。関連資料などが保存・公開されていて、サポートチームが関わった仕事の資料などが閲覧できました。

―― サポートチームについて具体的に教えてください。

Bさん ディレクターとエンジニア数人、デザイナーという、よくある構成ですね。それとインフラ担当が数人いました。全員合わせても10人弱くらいだと思います。

―― 亀山敬司会長はインタビューで「DMM社員は(運営に)関わっていないと聞いている」と語っていますが、実際にはどんな業務を行っていたのでしょうか。


「はちま起稿」買収問題、DMM社員はどう見たか はちま起稿買収問題、DMM.com亀山敬司会長が経緯を語る(Yahoo!ニュース

Bさん 掲示板やアプリの開発、サーバ移転などに関わっていたと思います。社内チームが要件定義や競合調査などを行い、実際の開発は外注していました。記事執筆には関わっていないはずですが、少なくともサーバは今もDMM.comのものを使っていますし、掲示板やアプリなどのメンテナンスもあります。「一切運営に関わっていない」とは言えないと思います。

―― どういう経緯で買収に至ったのでしょう。

Bさん 恐らくゲーム部門の誰かが提案したのだと思いますが、詳しくは分かりません。実際、買収決定の時点で知っていた人はかなり少なく、あとは法務くらいしか把握していなかった可能性もあります。ただ、亀山会長がまったく知らなかったというのは考えにくいと思います。

―― 買収について、社内向けに発表などはありましたか。

Bさん 大々的な発表はありませんでしたが、社内でうわさにはなっていました。調べれば分かる状態でしたから、恐らく半分くらいの社員は知っていたと思います。

―― 社内では買収についてどんな声がありましたか。

Bさん 自分が見たかぎりでは、そこまでみんな興味はなさそうでした。ただ「大丈夫かな」と心配する声は一部でありました。例えばサイトの評判や、裁判のリスクなどですね。どういうスキームで乗っているのか分からないので、漠然と不安だけがありました。

―― 外部に公表していなかったことについてはどう感じましたか。

Bさん 一般論で言えば当然よろしくないと思います。ただ個人的には「うちの会社ならよくあること」というのが正直な感想でした。(外部の企業を)買っても公表しないようなことはDMM.comではけっこうあります。

―― 今回、Bさんが取材を受けようと思ったのはなぜですか。

Bさん もともと社内体制が未熟なことに疑問を感じていました。今回の件も、単純にあまり深く考えていなかった可能性が高いと思います。そもそも考えられる人材もいなければ、いざというときにブレーキをかけられる体制もない。一度外から指摘された方がいいのではと思っていました。


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